2016 Fiscal Year Annual Research Report
A structural affiliations based on expertise of nursery teachers engaged in care of children with special needs
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25780487
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
廣澤 満之 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授(移行) (30461726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熟達化 / 障害児保育 / 困難感 / 環境的サポート / 情緒的サポート / 園内支援体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、障害児保育に携わる保育者の熟達化過程を明らかにし、その過程に基づく園内支援体制のあり方について検討することを目的とした。第一に、障害児保育を担当することによる困難感の変化に着目した質問紙調査を行った結果、保育所に所属する保育士が幼稚園教諭に比べて困難感を高く感じていることが明らかになった。特に園内外との連携に関するニーズが初任の保育者にとっては課題であった。また、ADHD児を担当した保育者は、保護者との協働、園内外の連携に特に課題を感じていた。第二に、入職5年目以内の比較的保育経験の短い保育者に面接調査を行った結果、保育者は園内において、ケース会議や雑談の機会といった【環境的サポート】、先輩保育者から見守られるといった【情緒的サポート】を支えとして障害児保育を行っていた。これらのサポートによって保育者は【保育への迷い】を持ちつつ、実践するといった反省的実践を繰り返していた。そして、この迷いを通して、長期的な視点で子どもを捉えることや子どもの個別性への視点といった特別支援に通じる子ども理解が生じていた。 これらの結果の意義は以下の通りである。第一に、保育者の所属・障害児保育の経験年数・担当した子どもの障害種別によって異なった困難感を持っていることから、保育者によって課題を乗り越えるためのニーズが異なるということである。すなわち、上記の困難感に合わせて、園内で保育者を支えるための体制(保育カンファレンス・先輩との相談・外部研修等)を整える必要があるということである。第二に、比較的困難感の高い5年目以内の保育者の熟達化過程を明らかにしたことであった。困難感は環境的サポートと情緒的サポートに支えられた時に、熟達化への契機となっていた。一保育者の困難感をどのようにして園内で支えるかということが重要であり、その内容を具体的に示したことが本研究の意義であると考えられた。
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