2013 Fiscal Year Research-status Report
社会科学分野の大学教育における学習経験の職業的レリバンスに関する実証研究
Project/Area Number |
25780515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小山 治 同志社大学, 商学部, 助教 (50621562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学習経験 / 熟達過程 / 大学教育 / 社会科学分野 / 就職活動 / 職業的レリバンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会科学分野の大学教育(学士課程教育)における学習経験が就職活動・初期キャリアに対してもたらす職業的レリバンス(意義・有効性)を社会調査によって実証的に明らかにすることである。 この目的を達成するための第1段階として、平成25年度には、学生に対する聞きとり調査を実施し、大学の学習経験における熟達過程はどうなっているのかという問いを検討した。調査対象者は、就職活動を経験した社会科学分野の学部に所属する大学4年生21名である(調査対象大学・学部数は3校4学部)。調査時期は、平成26年2~3月である。この時期に調査を実施した理由は、この調査では、①学生の就職活動が終了している必要があり、かつ、②在学中の学習経験全体を把握すること(特に卒業論文の執筆が完了していること)が重要な要素となるからである。 この調査では、事前に在学中の学習経験(図書館の利用日数等)と就職活動に関するミニ質問紙に回答してもらい、調査当日に学習経験と就職活動に関する具体的なエピソードを聞きとるという手法を採用した。 今回の調査には、学術的な意義と教育実践上の意義がある。まず、学術的な意義としては、学生の学習経験を具体的な行動レベルで把握したという点が挙げられる。先行研究は、学生の学習経験を学習時間、一般教養科目・専門科目等への熱心度等といった表層的な要素で捉えることに留まっており、学習経験の多層性・重層性を十分に把握できていない。今回の調査によって、こうした先行研究の問題点を相当程度克服できたように思われる。次に、教育実践上の意義としては、学生の学習支援を実証的に裏づける契機になるという点が挙げられる。今回の調査は、学生による深い学習と浅い学習を帰納的に抽出することにつながるため、大学教員と学生の双方にとって、効果的な学習(形態・方法)を探索するための道標となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」の第1段階は、「おおむね順調に進展している」と考えられる。なぜなら、予定通り、就職活動を経験した社会科学分野の学部に所属する大学4年生に対する聞きとり調査を実施できたからである。 この調査では、予定以上の収穫もあった。まず、当初の計画では、20名の学生に対する聞きとり調査を実施する予定であったが、それよりも多い21名の調査対象者を確保することができた。次に、この調査では、卒業論文執筆者全員から卒業論文の電子ファイルの提供を受けることができ、学習経験と卒業論文の関連性も分析できるようになった。こうした点も考慮すると、現在までの達成度は前述したレベルに該当するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、平成26年度には、平成25年度に実施した聞きとり調査によって抽出された学生の学習経験を質問項目として盛り込んだ質問紙調査を実施する予定である(調査対象者は、就職活動を経験した社会科学分野の学部に所属する大学4年生)。これによって、先行研究とは異なる形で学生の学習経験と就職活動の関連性を精緻に分析し、大学教育の職業的レリバンス(意義・有効性)を実証的に明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、就職活動を経験した社会科学分野の学部に所属する大学4年生に対する聞きとり調査を平成26年2~3月に実施したことによる。聞きとり内容の文字起こしは、平成26年度にまとめて行うことにした。 次年度使用額分については、前述したように、主に聞きとり調査の文字起こし代に充当する。
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