2013 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングメモリトレーニングと協働学習による英語教育研究:高校生大学生を元気に
Project/Area Number |
25780535
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
林 裕子 福岡大学, 言語教育研究センター, ポストドクター (10649156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ワーキングメモリトレーニング実施 / 協働英語学習 / 縦断的介入研究 / 言語指導と認知機能強化の相乗効果 |
Research Abstract |
平成25年度は福岡大学において108名の被験者を対象とした実験研究を実施した。4~8月の期間は、実験で使用する記憶力(ワーキングメモリ、以下WMと略称)トレーニングソフトのコーチ研修受講、実験材料の準備、実験助手の研修など、実験の準備を進めた。9月に予備調査を実施し、実験手順・材料の最終確認を行った。10月に本調査を開始し、「事前テスト(3週間)->実験(5週間)->事後テスト(3週間)」の手順で進めた。事後テストは12月下旬に終了し、平成26年1~2月にかけて、事前・事後テストのデータ入力・解析作業を進めた。解析の結果、事後テストにおいて実験の効果が表れていることが確認できたため、3月に追跡調査を行った。 本調査では、被験者を①英語授業(留学生との協働学習)グループ、②WMトレーニンググループ、③英語授業+WMトレーニンググループ、④統制群(テストのみ参加)の4グループに分け、協働英語学習とWMトレーニング独自の効果並びに混合した際の効果について検証する。被験者には、非言語性IQ、日本語・英語の習熟度テスト、日本語・英語のWMテスト、注意力テストを実施し、トレーニング前後でのグループ間の比較を行った。実験開始前はグループ間で有意な差は見られなかったのに対し、事後テストにおいては、③グループのみ英語のWMにおいて有意な改善が見られた。同じくWMトレーニングを受けた②グループには同様な伸びは見られなかったことから、外国語におけるWMの改善には認知的アプローチに加え、言語指導が効果的であることが示唆される結果が得られた。現在はトレーニング効果の持続性を検証するため、遅延テストのデータ解析を進めている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生の被験者に関しては、当初より若干少ない人数での実施となったが、4グループ確保できた点、2種類の実験を5週間大きな問題なく実施できた点においては、順調に進んでいると評価できる。 当初は高校生も対象とする予定であったが、学校関係者との真偽の結果、週5日のトレーニングを5週間継続して行うという性質のWMトレーニングは正課活動に大幅に支障をきたす可能性が生じたため、断念せざるを得なかった。今後トレーニング参加を希望する生徒については、少人数での実施を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験の拠点を佐賀に移し、大学生を対象にWMトレーニングと英語指導の実践を行う。平成26年に入りWMトレーニングの新バージョンがリリースされたため、新旧バージョンの比較も視野に入れ、新バージョンのWMトレーニングを使用する。 佐賀での実験実施と並行し、学会発表や論文執筆にも取り組む。現在、福岡での実験結果を報告する論文を執筆中である。6月に国内の学内誌に投稿予定である。学会発表に関しては、8・9月に行われる国際学会での発表を視野に入れている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、①平成26年度は佐賀に研究の拠点を写し、福岡大学で実施した手順に沿い実験を行うため、②すでに実施したトレーニングの効果の持続性を検証するため福岡の被験者を引き続き追跡するため、③学会発表・論文執筆など研究成果の発信に取り組む、の3つの理由により次年度も研究費を使用させていただきたい。 以下のスケジュールで研究を進めていく予定である。 平成26年4~6月「執筆作業、佐賀での実験開始に向けた準備」、7~8月「佐賀での予備実験開始、福岡での追跡調査、学会発表」、9~12月「佐賀での実験開始」、平成27年1月「データ解析」、2月「執筆作業、学会発表、報告書作成」、3月「報告書作成、学会・ワークショップ参加」。
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Research Products
(4 results)