2015 Fiscal Year Annual Research Report
その場観察中性子小角散乱による水素貯蔵材料のナノ構造の解明
Project/Area Number |
25790080
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岩瀬 謙二 茨城大学, 工学部, 准教授 (00524159)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子散乱 / 小角散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2元系の希土類-Ni系超格子型水素吸蔵合金は、初期の水素放出時に合金内に水素が残留し、最大水素吸蔵量に比べ有効水素吸蔵量が減少することが知られている。希土類元素の一部をMgで置換すると合金内に水素が残留することはなく、有効水素吸蔵量が増加する。このMg置換による残留水素の解消および吸蔵放出特性の向上に至る機構を「ナノレベル」で解明するため、中性子小角散乱を用いてナノ構造解析を行う。合金内の水素の状態を正確に捉えるために、その場観察(In-situ)中性子小角散乱測定法を確立し、吸蔵放出過程におけるナノ構造の変化を明らかにすることを目的とした。 In-situ測定に必要な試料セルの開発を実施した。中性子が透過する窓部の材質、厚みの検討を行った。空セル測定の結果から、窓部の材質は石英で厚みは5mmを最適とした。中性子ビームによる空セル測定の結果、透過率は84.5%に達した。 PrMgNi3元系水素吸蔵合金のIn-situ測定を実施した。水素化物相の散乱強度は、吸蔵前の合金相にくらべ、2割程度強度が高いことが分かった。Kが1(nm-1)以上の領域では、それらの差が顕著に増加していた。水素吸蔵によって、水素化物相の粒子表面(界面)構造がフラクタルに変化したことが明らかとなった。 In-situ中性子小角散乱法によって、表面・界面構造の変化を捉えることに成功した。これまで、水素化物相の構造変化に関する報告は殆どがXRD,SEM,TEMによるものであった。SEM,TEMは局所的な領域のみの変化しか捉えられないため、表面・界面の平均的な構造変化を捉えられたことは、今後の吸蔵放出過程を理解するために、新たな知見を得られてと考えられる。
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