2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 知行 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 准教授 (70609289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | p進コホモロジー / ラングランズ対応 / 数論的D加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲線に対してアイソクリスタルのラングランズ対応は既に示したので,Deligneの予想の高次元版を解決するための基礎研究を行った.これは前年度までの研究が予想以上に進んだために可能になったものである. まず,前年度までの結果としては有限体上の曲線に対してアイソクリスタルとl進層の一対一対応をDrinfeldとLafforgueのテクニックを用いて示していた.Deligneは任意の有限体上の滑らかな多様体に対しても同様の予想を提唱している.l進層とl'進層に対する一対一対応は曲線の場合を用いることによりDeligneとDrinfeldにより示されており,アイソクリスタルの場合にも同様の結果が望まれる.この予想はコホモロジー理論は実質的に1つであるというモチーフの哲学を体現しているという意味で数論幾何に於いて中心な問題とされている. これらの問題を解こうとするとき,1つの本質的な問題はLefschetz型の定理の欠如である.これは既約なアイソクリスタルがあったとき,その多様体の上の曲線でアイソクリスタルを制限しても既約な物が存在するかという問題である.現在までの所この問題は解決していないが,本年度の研究によりある種の過収束性の問題に帰着することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の最大の目標であったラングランズ対応は既に証明したので,当初の計画以上に進展していると言える.さらに,私の示したラングランズ対応を使った応用も出始めており,インパクトは少なくなかったと言える.今後さらなる応用が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の目標は高次元のDeligne予想,つまりクリスタリン同志そして,l進同志の存在を言うことである.l進同志の存在の方がより簡単であると思われる.これはLefschetz型の定理さえ示せば自動的に従うことが分かっているためである.一方でクリスタリン同志の存在を言うためにはクリスタリン基本群の種々の性質が必要になり,Lefschetz型の定理もその中に含まれている.これらを証明するために必要なのは収束アイソクリスタルがあったときに過収束になるための条件を研究することである.これは志甫氏のcut by curve判定法の精密化を意味しており,それ自体でも有用な主張であると思われる.
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Causes of Carryover |
前年度のイタリアの出張を全額負担つもりであったが,先方が渡航費を負担してくれたため,その分が持ち越しとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
東北大学の都築教授と研究打ち合わせをし,高次元の場合のクリスタリン同志の構成の可能性に関して議論する予定である.
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Research Products
(2 results)