2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25800071
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
奈良 光紀 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (90512161)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 偏微分方程式 / 擬微分方程式 / 界面現象 / パターン形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、主として以下の研究活動を行った。 1.非等方的(anisotropic)なAllen-Cahn方程式における界面の形成と運動について、理論的に考察した。特に、空間多次元のCauchy問題おいて、空間的に遠方へと拡大してゆく界面(spreading front)の挙動に焦点を当て、その形成と安定性を解析した。等方的(isotropic)な方程式では、拡散の効果が空間の各方向毎に同じであるため、球対称なspreading frontが存在することが知られており、その安定性も古くから研究されている。一方、本研究では、非等方的な方程式について、spreading frontの形状が、Wulff図形に漸近することを明らかにした。優解・劣解を構成する手法に基づき、その証明を与えた。この問題においては、非等方的平均曲率流方程式や、非等方的法線ベクトルなどの概念が重要な役割を果たすことが分かった。また、理論研究の過程で、弱解の定義や構成、弱解に対する比較定理など、技術的に困難な点についても考察した。 2.電気生理学の分野において、電気的パルスの伝播を表す数理モデルとして知られている擬微分方程式について、準備的な研究を行った。方程式の基本的な性質や、解析に必要となる概念の理解に努めた。また、数値計算を行い、線形熱方程式や、Allen-Cahn方程式との違いを実験的に把握し、理論研究の準備とした。
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