2015 Fiscal Year Research-status Report
太陽系外惑星探査のためのリモートセンシング法の構築
Project/Area Number |
25800106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河原 創 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90649758)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 系外惑星キャラクタリゼーション / 直接撮像 / ケプラー衛星 / 長周期惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、将来の直接撮像衛星による地球型惑星キャラクタリゼーションの新しい手法を開発し論文発表した。具体的には、惑星の自転による光度変動の周波数が、赤道傾斜角や軌道傾斜角により変調をうけることを発見し、これのモデリングを行った。また具体的にPseudo Wigner Ville distributionを用いて、シミュレートした光度変動曲線から周波数変調を検出できる事を示し、先のモデルとあわせて赤道傾斜角等が推定できる事をしめした。これらの結果は、Astrophysical Journalに掲載予定(Kawahara 2016)である。
また、ケプラー衛星のデータ中から、長周期惑星を探す新しい方法論を開発し、実際に探査を行った。これにはケプラー衛星が稼働した4年分のデータから単一トランジット現象(一回もしくは二回のみトランジットがあるもの)を目視により探査を行い、結果、7個の長周期トランジット惑星候補を発見した。また、この結果はcompact multi planet系の約20パーセント以上に、クールな巨大ガス惑星が存在する事を示唆している。発見した惑星候補はケプラーチームによりKOI(Kepler Object of Interest)として正式に認められる予定である。これらの結果は、Astrophysical Journalに掲載予定(Uehara, Kawahara, Masuda et al. 2016)である。
また、連星系においてもこのような単一トランジット現象を発見し、惑星よりは恒星に近い天体だったものの、この詳細解析をおこなった。結果、単一トランジット中に連星による食が3回観測された事と光速が有限である効果を利用し、光度曲線のみから軌道パラメタを全て決定する事に成功したこれらの結果は、Astrophysical Journal Lettersに出版された(Masuda, Ueahara, Kawahara, ApJL, 806, L37 (2015))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた直接撮像のキャラクタリゼーションの新手法の開発のみならず、ケプラー衛星の光度曲線解析の手法の開発と、その結果、長周期トランジット惑星候補の発見も行う事ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
直接撮像のキャラクタリゼーション手法については、今後GCMモデルを用いたより現実的なシミュレーションによる検証を検討している。また、独立成分分析やスパース性に基づく逆問題などによる、より良い推定方法も検討中である。 光度曲線解析についてはGPUを用いた、より大規模な探索方法を模索中である。
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Causes of Carryover |
掲載予定の論文の校正が遅れたため次年度に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿費の一部として使用
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