2016 Fiscal Year Research-status Report
拡張された重力理論における宇宙の加速膨張機構と三大物質組成の起源の研究
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25800136
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| Research Institution | Fukushima University |
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Principal Investigator |
馬塲 一晴 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (60608719)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | インフレーション / 現在の宇宙の加速膨張 / 現在の宇宙の加速膨張 / 暗黒物質 / F(R)重力理論 / F(T)重力理論 / F(R,T)重力理論 / バウンス宇宙論 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、F(R)重力理論、F(T)重力理論、F(R、T)重力理論における宇宙論及び宇宙物理学を考察した。主な研究内容は次の三項目にまとめられる。
1 プランク衛星等による近年の宇宙マイクロ波背景輻射の超精密観測結果から、宇宙創生直後において、インフレーションと呼ばれる加速的宇宙膨張が起こったことが示唆されている。一方、非常に明るい超新星の観測から、初期宇宙のみならず、現在の宇宙も加速的に膨張していることが明らかになり、その要因として反発力を生じる未知の暗黒エネルギーが存在することが示されている。暗黒エネルギー問題の研究方法は、大きく二つに分類される。一つは、一般相対性理論の枠内で、宇宙項に代表される暗黒エネルギーと呼ばれる負の圧力を持った未知の新物質を導入する方法である。もう一つは、長いスケールで重力理論を拡張する方法である。後者の代表例としては、一般相対論を拡張し、スカラー曲率Rの適当な関数F(R)を作用とするF(R)重力理論がある。このF(R)重力理論において、コンパクト天体に関する宇宙物理学的考察を行った。
２ 拡張された重力理論の一つに、F(T)重力理論がある。ここでTとは、捩れ率を表す。このF(T)重力理論におけるインフレーション宇宙論及びバウンス宇宙論を考察した。
３ 加えて、拡張された重力理論の一つに、F(R、T)重力理論がある。ここでTとは、物質のエネルギー・運動量テンソルを表す。このF(R、T)重力理論におけるエネルギー密度に関する解析を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、初期宇宙における加速的宇宙膨張であるインフレーションが実現されるF(T)重力理論モデルを構築した。
また、構築したこのモデルの枠組みにおいて、バウンス宇宙論が成立し、インフレーションが実現されて、初期特異点が回避される可能性を示した。
さらに、拡張重力理論の一つであるF(R)重力理論並びにF(R、T)重力理論において宇宙物理学的考察を詳細に行い、コンパクト天体及びエネルギー密度に関する論文を発表した。
これらの研究成果から、本年度の研究目的である「拡張された重力理論での加速膨張機構の解明」を概ね達成できたと考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、本年度に構築したインフレーションを実現するF(T)重力理論モデルにおいて、現在の宇宙の加速膨張をも実現できる物理機構を考案する。加えて、インフレーション終了後の再加熱過程を実現し、暗黒物質の生成機構を解明する。さらに、輻射優勢期とそれに続く物質優勢期を再現して、物質の密度揺らぎに対する観測的制限を求める。
また、暗黒物質の生成機構に関しては、共形変換を通じて現れるスカラロンというスカラー場のインフレーション中と再加熱過程における時間発展を考察し、スカラロンのエネルギー密度が観測されている暗黒物質のエネルギー密度と一致することを明らかにする。
さらなる発展的研究として、構築したF(T)重力理論モデルにおいて、宇宙バリオン数の生成機構を考察する。そして、このモデルにおいて、宇宙の三大物質組成である暗黒エネルギー、暗黒物質、バリオンが統一的に生成されるシナリオを構築する。
加えて、物質の密度揺らぎの成長率の成長指数及び曲率揺らぎに対する重力ポテンシャルの比を導出し、重力場による宇宙マイクロ波背景輻射の赤方偏移である積分されたザックス=ヴォルフェ (ISW) 効果並びに銀河等からの光の屈折である弱い重力レンズ効果の観測値との比較を通じて、このモデルのパラメーターへの観測的制限を導出する。
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| Causes of Carryover |
本年度、病気を患ったために約5ヶ月間大学を休ませて頂いた。その結果、当初予定していた研究発表等が出来なくなり、次年度使用額が発生した。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、本年度出来なくなった研究発表等に関する旅費として使用させて頂く計画である。
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