2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋坂 昌幸 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80550649)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子ホール効果 / 分数電荷準粒子 / 分数統計 / 電流ゆらぎ相関測定 |
Research Abstract |
本研究の主目的である分数量子ホール系における分数電荷準粒子の統計性の検証に向け、本年度は分数電荷準粒子生成の確認に取り組んだ。具体的には、1. 量子ホール素子の作製、2. 分数電荷検出、およびその統計性検証に向けた測定系の改良、3.分数電荷準粒子のトンネル現象の検出実験 に取り組んだ。 まず「1.素子の作製」では、高移動度2次元電子系基板に微細加工を施し、トンネル効果による分数電荷準粒子の検出に適した量子ホール素子を作製した。 「2.測定系の改良」では、電流ゆらぎ相関測定によるトンネル準粒子の電荷測定のノウハウを改良し、分数電荷検出に十分な感度・精度を持つ測定系の確立に成功した。また、複数の準粒子間の相関測定の実現に向け、4つの電流ゆらぎ測定系を有する極低温実験装置を開発した。 「3.分数電荷準粒子のトンネル現象の検出実験」では、上記「1」で作製された試料に対して「2」の測定技術を適用し、量子ホール系における分数電荷準粒子の観測に成功した。特に、これまでは分数量子ホール系において分数電荷準粒子が発現することが知られていたのに対し、本研究では、整数量子ホール系においても局所的なランダウ準位占有率の静電制御によって分数電荷準粒子が発現しうることを実証した。これは量子ホール系の物理にとって非常に重要な発見であると考えている。 以上のように、本研究の第一の目標であった「分数電荷準粒子の検出」は順調に達成された。この成果を基に、今後は「分数電荷準粒子の統計性検証」に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度の目標であった「分数電荷準粒子の検出」が達成され、その分数統計の検証に向けた試料、測定系の準備も順調に整いつつある。これはほぼ計画書通りの研究ペースであり、今後の研究の成功に期待が持てると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作製された試料、および測定系を用いて、実際に分数電荷準粒子の統計性の検証に取り組む。現状で準備されている試料のクオリティ、および測定系の精度は目的遂行のために十分であると考えている。
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Research Products
(4 results)