2015 Fiscal Year Annual Research Report
固体ヘリウム４の「超」固体性は転位を用いて全て説明出来るのか？
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25800202
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| Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
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Principal Investigator |
高橋 大輔 足利工業大学, 工学部, 准教授 (80415215)
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2013-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 固体ヘリウム / 低温実験 / 転位 / 超固体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
近年， 200mK以下の温度領域で観測された固体ヘリウム4(4He)の低温物性異常は，固体4Heが超固体発現メカニズムを具現化する系である可能性を提示した。特に，他グループによる比熱の二次相転移的挙動，および申請者らによるDC回転下の固体4He非古典的回転慣性に見られる量子化が現時点でその証左となっている。しかし，これまで観測された結果は転位の準古典的ダイナミクスによっても説明できる可能性が示されている。申請者は量子固体中の転位が固体4Heの量子力学的基底状態に与える影響を明らかにするために本研究を遂行した。
27年度は主にバルク固体4He中における転位ダイナミクスの量子化可能性について明らかにすることに主眼をおき，転位のマクロなダイナミクスが直接反映される弾性率測定（ずれ弾性率および体積弾性率）を定常回転下で行った。結果，静止下および定常回転下において各弾性率の温度変化に明確な差異が観測されなかった。加えて，詳細な回転数掃引実験においても各弾性率に回転数依存性は観測されなかった。この結果は以下の理由で説明される。
固体4Heは200mK以下の温度領域において，固体内に散在する同位体不純物(3He)に転位がピン留めされることにより弾性率が変化する(硬くなる)。一方，本研究で印加した定常回転により固体に生じる応力は，上記ピン留めを外すために必要な臨界力から見積もられる量よりも十分小さく，転位のピン留めに依存した固体の巨視的剛性を変化させるに至らない。
本研究で印加した定常回転数は過去の実験で用いたものと同一である。よって，今年度の研究結果は固体4He内転位ダイナミクスが低温物性異常に与える影響は限定的であり，その本質ではないことを強く示唆する。本成果は今研究テーマが主眼と置いた問題の核心的結果であり，今後のさらなる固体4He物性研究発展に寄与すると期待される
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