2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中川 貴司 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 主任研究員 (50396941)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地球熱化学進化 / コア-マントル熱流量 / 不均質構造 / 初期地球仮説 |
Research Abstract |
長時間スケールの進化過程モデリングについては、マントル対流に基づくコア-マントル結合系熱史シミュレーションモデルを改良することに成功した.そのモデルに基づいて、コア熱伝導率の影響ならびに初期地球条件の影響を調べ、その結果を投稿論文2編にまとめ発表した.概要は以下の通りある.コア熱伝導率は、磁場進化史にのみ影響を与え、コア-マントル境界熱流量ならびに最下部マントルの構造には影響を与えない.初期地球構造を考慮した進化モデリングにおいては、初期地球進化(コア形成など)の結果形成された、循環系玄武岩物質よりもさらに高密度な始原的物質を考慮しないと現実的なマントルレオロジー下でのコア-マントル熱進化シナリオがうまく説明できないことがわかった.さらに、結合系熱史モデルの両輪を担っている、コア熱史に関する熱力学理論を現実的なコア構造を再現できるような定式化に変更し、その動作を確認している.その熱力学理論には、コア内の密度構造を高温高圧実験ならびに地震波速度構造の標準モデルが表現できるような構造を仮定した積分系の方程式系である.コア-マントル熱化学進化モデルの結果から導きだされるコア構造(コアーマントル境界直下、数100kmにわたる密度成層構造)の影響を考慮した磁気流体ダイナモシミュレーションを用いた短時間スケールモデリングについては、2件の招待講演を行い、その研究の重要性を認識したところである.しかし、パラメータ空間のチョイスに予想以上に時間がかかり、投稿論文という形ではまとめきれなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長時間スケールモデリングについては、コア構造への影響を抽出するだけでなく、初期地球仮説の検証を行いその妥当性を確認することができた.これは、当初の計画以上に進展していると考えている.しかし、短時間スケールモデリングでは、広いパラメータ空間で現象を調べ上げる必要があり、どのパラメータに注目するべきかで時間が予想以上にかかった.これらを勘案すると、研究目的に対しての達成度は、おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については、磁気流体ダイナモシミュレーションに基づいた短時間スケールモデリングを行うことに集中する.平成25年度までで、マントルダイナミクスに基づく長時間スケール現象(熱化学進化)についての一定の結論を出すことができた.平成26年度は、その知見を利用することで、長時間スケール現象が短時間スケールにあたる影響の抽出を試みる研究を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
英文校正ならびに論文カラーチャージに使う予定であったが、年度末に間に合わなかったため. 英文校正費ならびに論文カラーチャージ費に使用する.
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