2013 Fiscal Year Research-status Report
黒潮続流・メキシコ湾流ジェットの蛇行の実態とそのスケール間相互作用の研究
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25800258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 克徳 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50604815)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋物理・陸水学 / 気候変動 / 海洋ジェット / 黒潮続流 / メキシコ湾流 |
Research Abstract |
衛星観測による過去20年間の海表面高度データを用いて,ジェット軸の位置とジェットからの渦の切離・併合を客観的に求める手法の開発を行い,北太平洋の黒潮続流ジェットに対して適用し,結果の解析を行った.この結果,低気圧性渦は黒潮続流ジェットの上流側で,高気圧性渦は下流側のシャツキー海嶺付近で渦の切離が多いことを明らかにした.この切離域の違いは,渦の生成メカニズムが異なることを示す.またこれらの渦の生成数の経年変動は,ジェットの流速の強さと負の相関を持つことを見出した.これは渦の切離が,ジェットの流速に対して影響を与えている可能性を示唆する.この結果についての論文を準備中で平成26年度中に国際誌へ投稿する予定である. また黒潮続流ジェットの十年変動に伴う周辺域のメソスケール現象の解析を行い,大気の大規模場の変動により生じた海洋中のシグナルが西方伝播し,黒潮続流ジェットの変動を介して,日本南岸の沿岸水位に大きく影響することを発見した.この結果は,大気の大規模スケールの変動と,より小さい空間スケールの現象である沿岸水位の変動の間で,黒潮続流ジェットがその橋渡しの役割を果たしていることを示す.沿岸水位の変動は近年の地球温暖化に伴う海面上昇に関連して注目されているが,この結果はその海面上昇の理解に対してジェットの存在が不可欠であることを示す.これらの結果についてJournal of Geophysical Research誌に投稿した論文は受理され,出版済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黒潮続流ジェット変動に伴う沿岸水位変動の論文が受理・出版され,また平成26年度のはじめに,黒潮続流ジェットからの渦の切離についてまとめた論文について投稿できる予定であるため,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
渦の切離・併合がジェットに与える影響について,より詳しく明らかにするために,領域海洋モデルを用いた数値実験を実施する予定である.また,得られた成果について国際学会での発表を行い,国際誌へ投稿する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度中に投稿論文の掲載料の支払い手続きをし,またこの論文の別刷りを注文したが,海外の会社であったため手続きに遅延が生じ,掲載料については3月中に支払いをしたが 北大の会計システムの仕様により年度内に金額が反映されず,別刷りについては次年度での支払いとなったためである. 上述した論文の掲載料と注文済みである論文別刷りの代金として使用する.
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