2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機テルル化合物の光反応性の解明と、リビングラジカル重合への応用
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25810021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 泰之 京都大学, 化学研究所, 特定准教授 (30456826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラジカル反応 / 光反応 / ラジカル重合 / リビングラジカル重合 / テルル / 量子収率 / 高分子反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は以下の(1)-(3)の点について研究を行った。 (1) テルル化合物のFLPを用いた定量化。ポリスチレン末端、ポリ酢酸ビニル末端の構造を持つテルル化合物に対し、レーザーパルス照射によるC-Te結合開裂により生じたテラニルラジカルの過渡吸収スペクトルを得た。これにより、350 nmでの照射ではポリスチレン末端構造のテルル化合物がポリ酢酸ビニル末端構造の化合物より1.5-2倍程度ラジカルが生じやすいことがわかった。 (2) 光ラジカル生成反応を利用した重合と反応分析。テルル化合物を用いた光重合について、開始剤構造の違いや、低温での重合、熱的に不安定なモノマーの重合について検討を行い、本重合法の合成的な利点を明らかにした。一方、TERP重合末端からの効率の良いラジカル生成を利用し、ラジカル重合反応における停止反応の不均化・結合反応選択性を精密に分析する手法を開発した。 (3) 酢酸ビニルのTERPに関する詳細。TERPを用いた酢酸ビニルの重合における、頭頭結合生成の問題点をより明らかにするために、開始剤、重合条件、重合進行と頭頭結合量について詳細に検討した。また、頭頭付加の割合が小さくなる低温(-20 °C)での重合を行った。しかしこれらの検討によっても、十分な重合制御は得られなかった。 期間中の研究において、種々の構造を持つ有機テルル化合物について、光照射による炭素-テルル結合開列反応の効率を明らかにし、これら化合物をリビングラジカル重合反応へ適用した。有機テルル基を末端に持つポリマーの効率的な光ラジカル生成反応を用いて、ポリマーのラジカルカップリング反応を開発し、さらにラジカル重合反応機構の解析に応用できることを見出した。有機テルル化合物を用いた酢酸ビニルのリビングラジカル重合反応について詳細な検討を行った。当初目的とした高度な重合制御を達成することはできなかった。
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