2014 Fiscal Year Annual Research Report
高い触媒活性と耐久性を併せ持つ水素生成触媒の創出と触媒反応機構の解明
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25810042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 幸正 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50631769)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水素生成反応 / 分子触媒 / 光エネルギー変換 / 水の可視光分解 / ニッケル錯体 / 白金錯体 / コバルト錯体 / カルベン配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の深刻なエネルギー問題に伴い、人工光合成技術に期待が寄せられている。そのような背景のもと、可視光を用いた水の分解反応に関する研究が活発に行われている。その実現のためには、個々の素反応でのエネルギーロスを小さくすることが重要であり、低い過電圧で水素発生反応を促進する触媒が必要である。本研究では、プロトン共役電子移動(PCET)過程に伴う還元過程の正電位シフト、並びに触媒サイトである金属中心への円滑なプロトン移動を期待し、配位子内にカルボキシレート基、並びにピラジン骨格等のプロトン伝達部位を有する水素生成錯体触媒の開発に取り組んだ。その結果、PCETを経由し、低い反応駆動力でも水素生成反応を促進する白金錯体及びニッケル錯体触媒を創出することに成功した。単一分子で光水素生成反応を駆動する白金錯体触媒については、そのpH依存性の評価から、pH = 6.2においてその活性が極大となることが判明した。また、プールベイダイアグラムの結果から、5.1 < pH < 7.0の領域で、一電子還元種からの熱的な水素生成反応の反応駆動力が極大となることを見出した。また、その一電子還元種が、150 meVという比較的小さな反応駆動力で熱的な水素生成反応を促進することを見出し、その光化学的な水素生成反応の触媒反応機構を綿密に解き明かすことに成功した。ニッケル錯体触媒については、各種電気化学測定の結果から、pH = 5.0において低い過電圧(250 mV)、高い触媒回転数(16000, 印加過電圧 = 0.36 V, 24 h)、並びに高いファラデー効率(98%)で水素生成反応を触媒することが分かった。また、前年見出した低い反応駆動力でも水素生成を駆動するコバルトNHC錯体が、DLS測定の結果、確かに分子触媒として作用することについても見出した。
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