2013 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール表面構造制御による高機能セラミックスコーティング法の開発
Project/Area Number |
25820012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中谷 正憲 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80581553)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セラミックコーティング / 摩耗 / 濡れ / 表面構造 / フレッティング疲労 |
Research Abstract |
本研究では,セラミックスコーティングのみの行程により,ナノ・マイクロマルチスケールの自己組織的微細構造を表面に形成し,コーティング素材そのものによる機能と表面微細構造によって発現する機能を複合的に付与することのできる高機能表面改質技術を確立することを目的とする.今年度の研究実績は以下の通りである. (1)成膜時における基板の回転速度やイオンビームの照射エネルギーによって,TiN薄膜の表面構造の形態や寸法が変化することを明らかにした. (2)ハスの葉のようなマルチスケール表面構造を工具鋼の表面に形成するために,前加工として基材に適切な加工痕を付与し,成膜を行うことにより,スケールの異なる表面構造を有するTiN薄膜を成膜することに成功した. (3)上述のような表面形態の異なるTiN薄膜に対して,ボールオンディスク試験による摩擦・摩耗特性評価を行った.表面にナノスケールの微細構造を有するTiNコーティングは従来の平滑なTiNコーティングに比べて摩擦係数は低下し,耐摩耗性は改善した.しかし,上記(2)の方法で作成したTiNコーティングにおいては従来よりも耐摩耗性は悪化した.表面に残存する鋭い凸部がコーティングの損傷を加速させたものと考えられたことから,次年度には前加工における加工痕の導入方法についてさらなる検討を行う. (4)単一組成のTiNコーティングよりも,成膜中の段階的条件変更により作製した組成傾斜を有するTiNコーティングのほうが密着性は向上し,フレッティング疲労特性が向上した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ構造TiN薄膜の成膜条件やマルチスケール構造の作成方法について,当初計画していた通り一定の成果が得られ,その薄膜の評価についても順次実施できていることから,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
マルチスケール構造の作成方法についてさらなる検討を進め,マルチスケール構造によるさらなる耐摩耗性の向上を図るとともに,濡れ性の制御性を高めることを目標とする.また,アルミニウムまたはその合金のプレス加工において生じる損傷を再現するための摩耗損傷試験を行い,本研究で提案した手法の有効性や問題点を検証し,今後の実用化へとつなげる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が少額であり,希望物品の購入ができなかったため,次年度使用額が生じた. 残額分については,翌年度分の助成金と合わせて成膜装置に必要な消耗品の購入に使用する予定である.
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