2015 Fiscal Year Annual Research Report
気体分子運動論による気液二相流体の高精度計算手法の構築と界面ダイナミクスへの展開
Project/Area Number |
25820038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 一道 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80453140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気体論境界条件 / 蒸発・凝縮 / Boltzmann方程式 / Enskog-Vlasov方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
液体の蒸発や気体(蒸気)の凝縮は,近年,新素材開発や医療の分野でよく観察されるキャビテーション気泡の崩壊現象に対して重要な素過程の一つである.本研究では,蒸発・凝縮を伴う気体の流れを正確に記述するために,気体論境界条件(Boltzmann方程式に対する気液界面の境界条件)を気体分子運動論計算(Enskog-Vlasov方程式を用いた数値計算)や分子動力学計算より求めることを目的としている.さらに,構築した気体論境界条件を用いて,キャビテーション気泡の崩壊に代表されるような気液界面のダイナミクスに対して数値解析を行い,分子運動論の立場からその物理を解明することを最終目標としている. 本年度は,非定常の蒸発・凝縮界面における気体論境界条件の確立を行った.その結果,昨年度の研究(定常計算)によって求められた広範囲の液体温度における気体論境界条件は,非定常蒸発・凝縮界面でも適用できることを確認した.この研究より,定常・非定常問わず,気液界面の境界条件は液体温度のみで指定できることを確認した.この結果は,流体力学や分子気体力学の分野に大きく貢献したと考えている.また,本年度は,本研究により構築された気体論境界条件を用いて,キャビテーション気泡の崩壊現象に関する数値解析も行った. 更に本年度は,分子動力学法やEnskog-Vlasov方程式を用いて,これまで仮説とされていた「自発蒸発流束」を確認するための方法論の構築を行った.「自発蒸発流束」とは,気体の状態(温度や圧力)によらず,自発的に液体から蒸発する分子が存在するというものである.このとき,この蒸発流束は液体温度の関数となり,気体の状態によらず一定値を持つことになる.本研究結果より,多様な気液非平衡状態においても一定の値を持つ蒸発質量流束(自発蒸発流束)が存在することを確認した.
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Research Products
(8 results)