2014 Fiscal Year Research-status Report
地区の景観特性を審査基準とする豪州の歴史的景観保全制度の運用実態に関する研究
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25820293
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 洋一 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (00568404)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 景観計画 / 景観保全 / オーストラリア / シドニー / メルボルン / 歴史的景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はメルボルン市の歴史的景観保全制度について、運用実態を詳細に調査し、制度の特徴や運用上の課題を明らかにした。具体的には、VCATと呼ばれる行政訴訟の裁定機関が公表している莫大なデータベースの中から、歴史的景観保全地区(ヘリテージ・プリシンクト)内の開発案件を抽出、5つの事例調査対象を選んだうえで、現地調査とビクトリア州政府及びメルボルン市役所の職員に対するインタビュー調査をおこなった。その結果、計画許可の審査にあたり、老舗ホテルの存続という歴史性を重視した許可判断がなされている点(ウィンザーホテル)、絶対高さ規制をクリアしている計画であっても周辺景観への影響を考慮してさらなる低層化を求めている点、歴史的景観に関する既存調査が許可判断の根拠として十分でない場合には審査プロセスの中で調査をおこなって根拠データを得たうえで許可判断をおこなっている点など、日本の制度改善に有用な示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ビクトリア州については、メルボルン市のほか、ヤラ市、ポートフィリップ市についても調査を進める予定であったが、現状はメルボルン市に注力している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
事例調査の絞り込みや運用実態に関する情報収集に非常に手間がかかっている。内部資料などを得るためには、市担当者との信頼関係が重要で、その点も研究の進捗に影響する。これまでの経緯もあって、メルボルン市についてはインタビュー調査が十分にできたので、敢えて他の都市にまで事例調査対象を広げるかどうか、再検討したい。
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Causes of Carryover |
メルボルン市、ヤラ市、ポートフィリップ市を想定していた現地調査が、メルボルン市だけにとどまっていることもあり、調査旅費支出の面で次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はシドニー市とメルボルン市において、調査対象事例が実際にどうなったかを調査する必要がある。また、これまでの補足調査として、再度、各州、各市の担当者にインタビューをおこなう予定である。
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