2013 Fiscal Year Research-status Report
省エネを実現する高強度と熱・電気伝導特性を両立した炭素系ナノ粒子分散複合材の開発
Project/Area Number |
25820369
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 久志 大阪大学, 接合科学研究所, 特任講師 (30452379)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粉末冶金 / 銅 / アルミニウム / 炭素系ナノ材料 |
Research Abstract |
銅粉末は粒径5μmの水アトマイズ粉末で球形状のもの,CNTは直径20-50nm,長さ1μm程度のものを用いた.CNTはIPA基分散溶液中に単分散しており,既往研究によるコーティングおよび真空熱処理により,CNTを粉末表面に単分散被覆できることを確認した.0.14 wt%CNT付着Cu粉末を利用した際,固化成形体の電気伝導率は80 IACS%を示した.強度に関しては,純銅粉末押出材は耐力値:73MPa, 最大応力:240MPa,伸び:47%であるのに対し,CNT分散材料は耐力値:270MPa, 最大応力:296MPa,伸び:20%と高強度を示した.結晶粒径はCNT分散材料で2-5μmで,純銅粉末押出材の10分の1程度の微細化を示した.TEMなどによる解析による界面挙動解析では化合物などの形成は確認されなかった. 純Al粉末を用いた場合も同様にコーティングプロセスでCNT単分散複合粉末を作製した.純Al粉末には,3μmの粉末を用いることで,複合材中に均一分散することを確認した.複合材の強度は,耐力値:158MPa, 最大応力:187MPa,伸び:19%となり,純Al粉末押出材の強度に対し約20%の向上が確認された.固化成形条件において,熱処理の温度を変化させることで,CNTと母相Alの界面では炭化物の形成が確認され,強度が炭化物を介して担保されていると考えられる結果となった.電気伝導率は,48~50IACS%となる.材料中の酸素量が電気伝導率に寄与していると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度においては,粉末冶金プロセスを利用したCNT分散複合材料の作製を試みた.CNT分散溶液を利用し,余剰CNT液の除去ならびに熱処理プロセスを利用することで,純銅粉末および純Al粉末ともにCNT単分散被覆粉末を作製できることを示した.研究計画においては,微量合金元素添加を予定していたが,純銅および純Al粉末のCNT単分散被覆粉末を利用した固化成形法によって,高強度ならびに十分な電気伝導特性を示すことを確認した.また,粉末粒径を変化させることで,CNT被覆量をコントロールし強度が増減することを確認した.TEMの結果においては,純銅では反応層などは確認されず,CNTが旧粉末粒界に分散することで,ピンニングの効果が発揮されていると推察できた.他方,Alにおいてはアルミニウム炭化物の形成が確認され,界面での整合性の向上で分散強化相として寄与していることが示唆された.このように,反応層の形成の有無によって,強化機構が異なることを見出した.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度においては,実験室レベルで純銅および純Al粉末CNT複合材料を作製し,それらの材料が高強度を示すと同時に,高強度メカニズムについて微視的観測から検討することができた.本年度においては,メカニズムの更なる探究を進めるとともに,各種強化機構の寄与分立を算出する.また,前年度にてえられた高強度材について,大型素形材の作製を進め,熱交換機やワイヤー(電線)などに対応しうる高強度・熱電気伝導特性材料の創製を試みる.
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