2014 Fiscal Year Research-status Report
圧電素子を利用した多重動吸振器による大型宇宙構造物のロバスト振動制御に関する研究
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25820412
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
南部 陽介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50582392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロバスト最適化 / 同定 / トラス構造 / 多重動吸振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,圧電素子を利用した電気的多重動吸振器のロバスト最適化手法を確立し,トラス構造物の効率的かつ高ロバストな振動制御を実現することである.近年,人工衛星のミッション内容の高度化・細分化に伴い,構造システムでは高精度かつ高機能なものが求められている.従来の動吸振器は,ロバスト性に問題があったが,本研究が提案するロバスト最適化と多重動吸振器は,それは克服するものである.ロバスト最適化された多重動吸振器は,高精度宇宙構造物の実現に不可欠な技術である. 本年度は,恒温槽内で実施した梁の制振実験を対象に,最適化の精度を向上させるために実数値GAを利用したシステム同定を行い,実験装置の動特性を精度よく同定した.これにより,最適化計算の結果から,実際の電気的多重動吸振器の最適な固有振動数と減衰比を予見できるようになった.また,市販のスタック型圧電素子に自作の変位拡大機構を組み合わせ,トラス構造の制振用の動吸振器を開発した.開発した動吸振器の周波数特性を調べるなど,基礎的な実験を行った.昨年度組み上げたトラス構造に,開発した多重動吸振器を設置し,一般化機械電気結合係数などの特性を調査した.有限要素モデルから固有モード関数および固有振動数を導き,実験結果をコリレーションすることで,最適化計算に必要なモデルの精度を向上させた. 梁を制振するための多重動吸振器のロバスト最適化と恒温槽内で実施した実証実験の内容をまとめ,国際学会で発表すると共に,査読付きの国際論文へ投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラス構造に組み込むことができる多重動吸振器を開発し,その特性を調査することができた.システムの動特性を同定する手法を構築し,最適化計算結果の信頼性を向上させることができた.制振実験のための基礎実験がほぼ完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
多重動吸振器によるトラス構造の制振性能向上を目指した実験を行う.また,多重化によって,動吸振器の調整に対する要求精度が緩和されることを利用し,外部温度に適応して固有振動数と減衰比が再調整される適応型多重動吸振器の実証実験を行う.
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況から,,実験装置の改良を前倒しで行おうとしたが,納品が間に合わず前倒し請求分が残った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通りに,実験装置の改良を行う.
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