2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25820449
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片岡 隆浩 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (40509832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ラドン / 一過性脳虚血 / 抗酸化機能 / 神経細胞 / スナネズミ / 海馬 / アスコルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度では,ラドン吸入によるスナネズミにおける一過性脳虚血に伴う細胞障害の抑制効果の有無について検討したが,平成26年度ではアスコルビン酸(ビタミンC)投与による一過性脳虚血に伴う細胞障害の抑制効果とラドン吸入による抑制効果を比較検討した。 すなわち,スナネズミ(MGS/Sea,8週齢)に,ラドン(2000Bq/m3)吸入を24時間またはアスコルビン酸(ビタミンC;100,300,500mg/kg体重)をそれぞれ腹腔内投与した。吸入または投与の直後に一過性脳虚血モデルを作製し,その4日後に安楽死させ,脳と血清を摘出し試料に供した。ラドン吸入またはビタミンC投与による一過性脳虚血に対するCA1領域の細胞の損傷の程度を比較した。その結果,ラドン吸入による抑制効果は500mg/kg体重ビタミンC投与によるそれよりも大きいこともわかった。以上の所見などにより,ラドン吸入による一過性脳虚血の抑制効果にはSOD活性の増加が関与し,その抗酸化力はビタミンC投与よりも大きいことが示唆できた。しかしながら,個体により細胞死の数のバラつきが大きく,再現実験が必要である。 本研究の成果は,国内外4件の関連学会で発表し,さらに,平成25年度の成果はInflammationに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自家繁殖でかつ繁殖能力の低いスナネズミが想定よりも多く繁殖したため,実験に必要な数を確保できた。しかし,モデル動物作製の再現性が悪く結果が明白ではなかったため,平成27年度に再現実験を実施することで当初の目標が達成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はモデル動物作製の再現実験をし,データの信頼性を高める。すなわち,スナネズミラドン(2000Bq/m3)吸入を24時間またはアスコルビン酸投与した後に一過性脳虚血モデルを作製し,一過性脳虚血に対するCA1領域の細胞の損傷の程度を比較する。さらに,ラドン吸入による一過性脳虚血に対するCA1領域の細胞の損傷の抑制効果が抗酸化機能の亢進であることを再度確認するとともに,ビタミンC投与による脳中の抗酸化作用の変化についても検討することで,健康不安を払拭するため放射能温泉でありながらネガティブなイメージの少ないラドン温泉効果を生活に密着したビタミンの効果などと関連づけることにより,放射線の健康影響に対するイメージの改善を図れるようデータをまとめる。 また,本研究の目的が「低線量放射線による健康不安を払拭するための提案」であることから,平成27年度も本研究の成果を広くアピールする必要があるため,国内外の学会発表や論文投稿を通して研究成果を報告するとともに,低線量放射線の健康効果について,学術雑誌に解説や総説を積極的に投稿する。
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Causes of Carryover |
平成27年3月分のスナネズミの飼育料が想定より高く,予算が不足したため支払いができず,別途の予算で支払いをした。そのため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りスナネズミの飼育料で使用する。
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