2014 Fiscal Year Annual Research Report
前シナプス分子基盤によるシグナル伝達場の構築及び神経回路網の調節機構
Project/Area Number |
25830008
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
萩原 明 山梨大学, 総合研究部, 講師 (70402849)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アクティブゾーン / シナプス / 神経回路 / Cre-loxPシステム / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
内容)脳の機能を担う神経回路が正常に作用するには、情報伝達の場であるシナプスにおける円滑な情報の受け渡しが必須である。本研究では伝達物質が放出される場の構成蛋白質である CAST/ELKSファミリーに着目し、その機能をシナプスから脳まで一貫して解析する。 1. Creの発現によりELKSのみを欠損させた神経系では顕著な異常が認められず、ELKSの機能をファミリー蛋白質であるCASTが補完していると推測された。 2. CAST/ELKS両遺伝子を欠損させた培養神経細胞は神経ネットワークの構築に顕著な異常は認められなかった。一方、脳領域特異的CAST/ELKS欠損マウスの解析において、小脳では学習運動が低下することや、網膜では視機能に異常が見出された。そこで今後、シナプスにおける情報伝達機構やその可塑性に関して詳細なメカニズムを形態学的・生理学的に解析していく。 意義)本研究では、神経伝達物質の放出を調整する場を構成する蛋白質の一つであるCAST/ELKSファミリーを欠損させ、シナプス及び関連する脳機能の解析を行った。このように脳機能と分子基盤との関係を明らかにすることで、今後様々な神経疾患の原因解明や治療への応用が期待される。 重要性等)本解析によりCAST/ELKSはシナプスによって多様な作用機序を示し、その欠損は様々な脳機能の異常として表現されることが分かってきた。近年、脳の研究は神経回路網の解析へと変化してきたが、その基盤となるシナプスは神経系を構成する重要な要素の一つである。本研究のようにシナプスの分子メカニズムから脳機能までを一貫して解析することは、基礎研究から神経疾患への応用性を示すカギとなるものである。
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Research Products
(3 results)