2014 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類モデルを用いたトゥーレット症候群に有効な脳深部刺激療法の基礎的研究
Project/Area Number |
25830010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
MCCAIRN Kevin 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (20600191)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トゥレット症候群 / 脳深部刺激療法 / 大脳基底核 / 大脳皮質運動野 / 小脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
不随意運動を特徴とするヒトのトゥレット症候群の発症機構と、それに対する脳深部刺激療法の有効性を検討するため、同疾患の霊長類モデル動物を用いた電気生理学的研究を実施した。まず、ニホンザルの大脳基底核(被殻)にGABA-A受容体の拮抗薬であるビククリンを微量注入し(2-8μl)、顔面と前肢のチック運動を誘発した。この症状は、薬剤注入の数分後から出現し、数時間(通常は2-3時間)後に消失するという一過性の経過をたどった。次に、不随意運動の出現前後において、大脳皮質運動野、大脳基底核(被殻、淡蒼球外節、淡蒼球内節)、そして小脳(皮質および歯状核)から単一神経細胞活動と局所電場電位を記録し、広域神経ネットワークの活動を評価した。その結果、全ての記録部位において、チック運動に同期あるいは先行する異常な興奮活動を見出した。大脳基底核における異常活動の潜時は、大脳皮質運動野と小脳のそれよりも有意に早かったが、大脳皮質運動野と小脳間では有意差を認めなかった。さらに、淡蒼球内節に電気刺激(2相性パルス、各パルス幅60μ秒、周波数150Hz、刺激強度1V、持続時間30秒)を加えたところ、不随意運動の振幅が減少し、淡蒼球の異常神経活動が減弱した。以上より、トゥレット症候群は、大脳基底核に加え小脳を含む広汎な神経ネットワークの活動異常により引き起こされること、そして、大脳基底核の出力部の電気刺激がその異常活動を除去するのに有効であることが示唆された。
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