2013 Fiscal Year Research-status Report
肺がんにおける3'非翻訳領域短縮による転写後制御の破綻と臨床的悪性度の相関の解明
Project/Area Number |
25830098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 広祐 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50644291)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / マイクロRNA / バイオマーカー |
Research Abstract |
非小細胞肺癌において3’非翻訳領域(3’UTR)の短縮をおこしている遺伝子を検索するために、公開されているマイクロアレイデータをBioconductor上で解析し、非小細胞肺癌で特に3’UTRの短縮が起こりやすい10遺伝子(DIEXF, HN1L, MUC20, NDFIP2, SCAMP1, RBM33, C1orf52, ESYT2, SMC1A, SSR1)を同定した。非小細胞肺癌147例の切除検体よりRNAを抽出し、リアルタイムPCRを用いて10遺伝子の3’UTR短縮の程度をスコア化し検討したところ、3’UTR短縮は病期および再発率と相関し、多変量解析にて独立した予後不良因子であることが明らかとなった。また3’UTR短縮を防ぐと報告されている遺伝子PABPN1は肺癌において高頻度に発現が低下しており、PABPN1の発現低下は3’UTR短縮と相関し、PABPN1低下群は有意に予後不良であった。さらに3’UTR短縮は細胞増殖マーカー(MKI67, TOP2A and MCM2)の発現量やステージング時のPositron Emission Tomography (PET)における腫瘍のSUVmaxとも相関を認めた。 以上、非小細胞肺癌における3’UTRの短縮は腫瘍の悪性度、増殖速度のバイオマーカーとなっていることが確認された。3’UTRの短縮化によりmicroRNAによる転写後制御が破綻し腫瘍の悪性度に寄与している可能性が考えられる。またPABPN1の発現低下が非小細胞肺癌における3’UTR短縮化に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非小細胞肺癌において①3’UTRの短縮が起こりやすい10遺伝子を同定し、②3'UTRの短縮とPABPN1の発現低下が相関することを確認し、さらに③3'UTRの短縮とPABPN1の発現低下が共に癌の悪性度のバイオマーカーとして有用であることが明らかとなった。研究開始から1年間であるが現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究ではPABPN1の発現低下と3’UTRの短縮の間に相関関係があることは確認されているが、PABPN1の発現低下が3’UTR短縮の原因となっているかどうかは不明である。今後、PABPN1の発現量が低い肺癌細胞株に強制発現を行い、癌細胞の形質の変化や3’UTRの長さの変化を検討することにより、機能解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は既に公開されているマイクロアレイデータを用いることで3'UTRの短縮する遺伝子を同定することができた。また解析は主にリアルタイムPCRを用いたものであり新たな系を立ち上げる必要がなく、限られたコストで研究が可能であった。 平成26年度はPABPN1の強制発現系を確立し機能解析を進める予定である。またPABPN1の遺伝子導入による3'UTRの長さの変化について、マイクロアレイもしくは次世代シクエンサーを用いて網羅的に検討する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Histone methylation-mediated silencing of mir-139 enhances an aggressive phenotype of non-small cell lung cancer2014
Author(s)
Kousuke Watanabe, Mitsuhiro Sunohara, Yosuke Amano, Rie Ishikawa, Junji Ichinose, Jun Nakajima, Masashi Fukayama, Yutaka Yatomi, Takahide Nagase, Nobuya Ohishi, and Daiya Takai
Organizer
AACR-IASLC Joint Conference on Molecular Origins of Lung Cancer
Place of Presentation
San Diego, USA
Year and Date
20140106-20140109