2014 Fiscal Year Research-status Report
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25830150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 幸治 東京大学, 総合文化研究科, 特任研究員 (30647962)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絶滅危惧種 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、前年度に引き続いて主として飼育実験と分布調査を行ない、以下のような結果を得た。
1.ハンミョウモドキ属(genus Elaphrus)の生活史の解明:調査地の一つである渡良瀬遊水地に生息するハンミョウモドキ属の2種、ワタラセハンミョウモドキ(Elaphrus sugai Nakane)とコハンミョウモドキ(Elaphrus punctatus Motschulsky)はともに、近年見直された環境省のレッドリストで絶滅の危機に瀕しているとされている。2014年度は両種ともに繁殖期のメス成虫を得ることができ、飼育実験によってこれまで知見のなかった生態の一部を明らかにすることができた。ワタラセハンミョウモドキについては、生息地における微小スケールでの分布規定要因としてはたらいている可能性のある特異な繁殖生態について明らかにした。コハンミョウモドキについては、幼虫期における特異な生態を明らかにし、この生態が分布規定要因および近年の衰退にかかわっている可能性がある。
2.分布調査:これまで明らかになった湿地性ゴミムシ類の生態をもとに、渡良瀬遊水地内におけるさらなる分布調査および、周辺の湿地環境における希少種の分布可能性を検討した。その結果、遊水地内については、既知産地以外では希少種の分布の可能性があまり高くないことが判明した。遊水地外の周辺湿地については、比較的近い位置にある群馬県内のいくつかの湿地の現地視察を行ない、植生などの環境を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の核となる飼育実験と分布調査は比較的よく進んでいるため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究環境の変更に伴い、飼育実験などがやや難しい状況になった。よって、分布調査や初年度に採取したサンプルに基づいた分子実験に力をいれたほうがよいかもしれない。また、3年計画の最終年度でもあるので、これまでの研究結果のとりまとめにも力を入れていきたい。
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Causes of Carryover |
2013年度に取得した育児休業による室内作業の遅れが一年では取り戻せなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は分子実験に力をいれる予定である。
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Research Products
(1 results)