2013 Fiscal Year Research-status Report
津波による大規模攪乱後の樹木の分布に着目した森林再生ポテンシャルの空間的評価
Project/Area Number |
25830153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
富田 瑞樹 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (00397093)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海岸林 / 屋敷林 / 断片化 / 種子散布 / 低頻度大規模攪乱 / 更新 |
Research Abstract |
本年度は,(1)仙台平野において従前よりパッチ状に分布していた屋敷林や,東北地方沖太平洋地震に起因する津波によって分断化された海岸林を含む森林パッチ図の作成と,(2)研究対象範囲の確定,ならびに,(3)研究対象範囲の森林パッチに生育する林冠/林床を構成する樹木を対象とした樹種の確認を目的として,調査・解析を実施した.(1)については,RapidEye衛星による2013年8月の画像を解析したが,大気の影響でぼやけている箇所が見られた.また,森林と草地との峻別が困難な場所があることも確認された.そこで,前者の対応策として衛星画像に大気補正を施し,後者の対応策として2013年3月の衛星画像および現地踏査による森林パッチの確認を実施した.現在は順調に解析が進んでおり,2014年度には森林パッチ図が完成する予定である.(2)については,仙台平野部における調査の結果,南北は七北田川から名取川まで,東西は海岸線から仙台東部道路までの範囲において,40か所を超える森林パッチの存在が明らかとなった.上述の範囲を研究対象範囲と設定することで,十分な森林パッチ数が得られると考えられたため,この範囲を研究対象とすることとした.(3)については,津波で分断された海岸林由来の森林パッチと,津波以前から存在していた屋敷林に由来する森林パッチ,その他,公園や社寺などの植栽樹木からなる森林パッチがあり,それぞれの林冠を構成する樹種は,森林のタイプに応じて異なっていた.また,林床に生育する樹木については,津波後に定着したと考えられる当年生実生や一年生稚樹が確認された.特に,これらの実生・稚樹が生育する森林パッチの林冠に同種成木が存在しない場合があることも確認され,鳥類などによるパッチ間の樹木の移動が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の予備調査として研究対象範囲におけるほぼ全ての森林パッチを踏査し,それぞれにおける林冠/林床を構成する樹種の確認と調査に要する時間を検討したこと,ならびに,森林パッチ図の作成に必要な衛星データの解析に関する問題点を抽出し,対応策を講じたことによって,2年目以降の研究の進捗に目途がついたため.
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Strategy for Future Research Activity |
森林パッチ間の樹木の移動を把握するために,それぞれの森林パッチに出現した当年生実生を可能な限り多く確認する必要がある.そこで2年目は,春季にできるだけ高頻度で調査を実施することとする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本務の都合から科研費初年度の春季~夏季における調査頻度が予定よりも多くなり調査に係る予算が増加した.その結果,科研費初年度に購入する予定であった機材を購入することができなくなったため,次年度に機材を購入することとした. 春季の調査頻度を可能な限り増やす必要があるため,まずは旅費および謝金に使用する予定である.そのうえで,機材の購入について検討する.
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