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2013 Fiscal Year Research-status Report

ミトコンドリア呼吸鎖酵素NDH-2における活性酸素の生成抑制機構と構造的基盤

Research Project

Project/Area Number 25840036
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionKagawa University

Principal Investigator

山下 哲生  香川大学, 医学部, 助教 (80444727)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywordsミトコンドリア / 電子伝達系 / エネルギー代謝 / 活性酸素 / フラボプロテイン / 反応機構 / 国際情報交換
Research Abstract

本年度(平成25年度)はType II NADH脱水素酵素(NDH-2)の活性酸素の生成抑制機構について、特にNDH-2と基質(NADH)との相互作用に注目し解析を行った。
NDH-2は酸素存在下でNADHを添加すると長波長側(650 nm付近)に特徴的な吸収スペクトルを持つ電荷移動錯体を形成するが、NDH-2の部位指定変異体の中でNADH酸化活性が顕著に高い(活性酸素の発生量が多い)Thr239の変異体(T239A)においてはこの電荷移動錯体の形成能が無いことが明らかとなった。そこで、NADHを基質にした際の酸素に対する親和性を野生型とT239A変異体で比較したところ、野生型はシグモイド曲線を示し通常の酸素濃度の領域において酸素に対する反応性が低かったのに対し、変異体では通常のミカエリス-メンテンタイプの曲線を示し同濃度領域における反応性が高いことが示された。また両酵素のNADHに対する反応性、酵素反応中に発生する活性酸素生成量を詳細に比較した結果、NDH-2はThr239を介してNADHと安定した酵素-基質複合体を形成することで、還元型FADから酸素への非生理的な電子の流れを抑制していることが予想された。またFADの酸化還元電位を測定したところ、野生型ではFADのセミキノン型が安定に存在するのに対し、変異体では野生型に比べ不安定になっていることから、上記のNADHとの相互作用以外の活性酸素の生成抑制機構としてFADのセミキノン型が安定に存在することで酸素への反応が抑制されている可能性が示された。
また、平成26年度に予定している基質結合部位の解析を効率よく行うため、キノン結合部位の特異的阻害剤の検索を行った。その結果、これまでに報告されているNDH-2に対する阻害剤とは全く異なる構造を持ち非常に低濃度で作用する化合物を数種類見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「呼吸鎖酵素が本来有している活性酸素の生成を抑制する分子機構と構造的基盤の解明」という研究目的に対し、本年度はNDH-2の反応機構、特に酵素と基質との相互作用に注目して解析を行った。その結果、NDH-2においてはNADHと安定した酵素-基質複合体を形成することで還元型FADから酸素への非生理的な電子の流れが抑制されていることが明らかになった。また上述のような反応機構だけではなく、酸化還元滴定等を行い酵素そのものの物理化学的特徴を明らかにすることで基質がない酵素単独の状態においても酸素との反応性が抑制されていることが明らかとなった。これらの結果は本年度に計画していた「NDH-2の分子内電子伝達の解析」の内容を十分に満たすものである。
また、「NDH-2および両基質との三者複合体の構造解析」については、本研究課題がスタートする直前に違うグループがNDH-2の三者複合体の構造解析について報告したことから(Nature, 2012, 491, 478-482)、研究計画および体制について若干の変更があった。現在、東京大学医学部の北潔教授と共同で「NDH-2の阻害剤検索および酵素と阻害剤との共結晶化」という形で進行しており、これまでに非常に有望な阻害剤を数種類見出していることから、計画をおおむね達成していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

「NDH-2および両基質との三者複合体の構造解析」については、東京大学医学部の北潔教授と共同で「NDH-2の阻害剤検索および酵素と阻害剤との共結晶化」という形で進行していく予定である。特異的阻害剤については既に数種類見つかっており、北教授の研究室では呼吸鎖複合体2やトリパノソーマのシアン耐性酸化酵素をはじめとして膜タンパク質の結晶解析を精力的に進めていることから、酵素と阻害剤との共結晶化および構造解析に関しては問題なく遂行できるものと考えている。
また、「NDH-2の分子内電子伝達の解析」の続きとして、結合型ユビキノンの分子内の電子伝達への関与を明らかにするため、計画通りに米国ペンシルバニア大学の中丸映子博士に超低温でのESR測定を依頼していることから、進捗における結果の総括に関して研究協力者の助言を受けつつ行い、効率よく遂行できるように努める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度、低圧クロマトグラフィーを購入する予定であったが、タンパク質の結晶化の計画が一部変更になり、本年度中に大量のタンパク質を精製する予定がなくなったため、設備備品購入費用が使われず差額が生じた。
本年度購入しなかった低圧クロマトグラフィーを購入する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Apoptosis-inducing factor (AIF)の膜への結合様式の解析2014

    • Author(s)
      山下哲生、橋本剛、五十嵐淳介、小坂博昭
    • Organizer
      第91回日本生理学会大会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学郡元キャンパス
    • Year and Date
      20140318-20140318

URL: 

Published: 2015-05-28  

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