2013 Fiscal Year Research-status Report
海洋島における海流散布植物の内陸環境への適応と進化
Project/Area Number |
25840137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 浩司 東京大学, 総合研究博物館, 特任助教 (60647478)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋島 / 種子散布 / 遺伝的多様性 / 南太平洋諸島 / 小笠原諸島 |
Research Abstract |
海洋島の生物にはいくつもの進化の共通パターンが観察される。特に海流散布植物が島の内陸環境で生育する生態的シフトは、多くの海洋島で見られる進化現象である。本研究では、海流散布植物が内陸環境へ適応する際の種子散布様式の進化と遺伝的基盤を解明することを目的している。 今年度は野外調査による海流散布植物の生育環境調査と試料採集を中心に実施した。9-10月に小笠原諸島の父島と母島で野外調査を行い、遺伝子解析用の試料約600点と散布様式を調べるための種子を収集した。母島で採集したモンテンボク(アオイ科)は、これまで父島の個体で報告されていたのと同様に種子が水に浮かなくなっていることが明らかとなった。種子散布様式の変化が、父島と母島で同時並行的に生じたのかどうかは大変興味深く、更なる検討が必要である。2-3月に仏領ポリネシアのタヒチ島、ヌクヒバ島、ヒバオア島、ウアフカ島で野外調査を行い、遺伝子解析用の試料約800点と種子を収集した。仏領ポリネシアの各島では内陸部の高標高域にまで海流散布植物のオオハマボウが進入しており、さらに、内陸集団は海岸集団とは花の形態に僅かな差異が見られることを発見した。また、タヒチ島の一部の個体は種子が海水に長時間は浮かないことが、現地での予備的な実験で明らかとなった。遺伝解析に関してはDNAの抽出を順次進め、次世代シーケンサーによる一塩基多型の検出ための実験条件設定をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査による試料採集は現地研究者の積極的な協力もあり、予定していたよりも多くの採集地点から遺伝解析に用いる試料を得ることができた。遺伝子解析に関しては、条件設定や試薬類の納期の遅れなどもあったが、概ね計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、種子散布特性の解析と次世代シークエンサーを用いた遺伝解析を中心に進める。遺伝解析ではできるだけ多くの個体を実験に用いるために、DNA抽出を含めた実験作業の効率化や実験補助員の協力を得るなどの工夫が必要であると考えている。
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Research Products
(3 results)