2014 Fiscal Year Research-status Report
海洋島における海流散布植物の内陸環境への適応と進化
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25840137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 浩司 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (60647478)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋島 / 種子散布 / 遺伝的多様性 / 南太平洋諸島 / 小笠原諸島 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋島の生物にはいくつもの進化の共通パターンが観察される。特に海流散布植物が島の内陸環境で生育する生態的シフトは、多くの海洋島で見られる進化現象である。本研究では、海流散布植物が内陸環境へ適応する際の種子散布様式の進化と遺伝的基盤を解明することを目的にしている。 平成26年度は奄美大島と小笠原諸島父島で野外調査を行い、遺伝子解析用試料の採集と証拠標本の作成をおこなった。これまでに採集した小笠原諸島、琉球列島、南太平洋諸島の約700点の遺伝子解析用試料について、DNAの抽出と定量を完了した。DNA抽出の予備実験ではCTAB法とカラム法の両者を比較し、多糖類を多く含む本種ではカラム法が適していたため、実験はすべてカラム法で実施した。 次に、次世代シーケンサーによる一塩基多型の検出(改良ddRAD)ための実験条件の設定をおこなった。本種は正確なゲノムサイズが分かっていないため、4組の制限酵素の組み合わせ(SphI-EcoRI, SphI-MluCI, NlaIII-EcoRI, MluCI-NlaIII)を試し、適正な断片長が得られる組み合わせを検討した。その結果、 SphI-MluCIの組み合わせで理想的な断片長さを得られることが分かった。次年度は各集団役20個体ずつを用いて、一塩基多型に関するデータを取得していく。 一部のサンプルを用いて葉緑体DNAの全塩基配列を比較し、種内に10箇所の突然変異があることを明らかにした。次年度はddRADの解析を中心に進めるが、必要に応じて葉緑体DNAの全塩基配列を比較も含めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画における平成26年度の目標とその達成度(◎:十分に達成できた、○:順調に進行中、△:予定よりやや遅れた、×:予定よりかなり遅れた)は以下の通りである。 種子散布特性の解析(内部構造)△、種子散布特性の解析(浮遊能力)△、遺伝解析(データ作出)◎、研究成果発表○ 種子散布特性に関する実験にやや遅れがあるが、マイクロCTスキャンの共同利用など研究協力体制の構築ができたので、次年度中にはデータを作出できると考えている。遺伝解析や研究成果発表はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の高山は平成27年4月1日付で、静岡県ふじのくに地球環境史ミュージアムに准教授として着任する。解析に必要な小・中型の実験機材はすでに設置してあるので、隣接する静岡大学グリーン科学技術研究所の大型機器の共同利用を図りながら、確実に研究を実施していきたいと考えている。 2016~2017年に国際会議Island Biologyが行われる予定があるので、その際に研究成果を発表できるように、計画通り実験解析を実施していく。
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Research Products
(2 results)