2014 Fiscal Year Research-status Report
霊長類における踵骨の形態およびサイズの変異と化石への応用
Project/Area Number |
25840172
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鍔本 武久 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (20522139)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 踵骨 / 霊長類 / 形態 / 計測 / 回帰分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
霊長類の骨格の中で、踵骨は比較的よく機能形態学的・古生物学的研究がされている。しかし、現生の踵骨サイズの種内変異を詳しく調べた研究はまだ少ないので,化石の踵骨の変異を考えるときの基準に乏しかった。本研究の目的は,化石踵骨の論理的な同定・分類を可能にし、化石霊長類やその他の化石哺乳類の古生態や古環境のような発展的研究の進展に活かすことである。 二年目である本年度は、踵骨化石からその化石霊長類の体重を推定するために、現生霊長類・ツパイ類の踵骨サイズの計測・写真撮影・モールド作成をおこなって、踵骨サイズと体重との関係を検討した。標本は霊長類14種24個体およびツパイ類1種2個体で、すべて大人の個体である。体重値は個々の標本の体重データを使用した。計測部位は昨年度の研究でよりすぐった12箇所である。自然対数変換したそれぞれの計測値と動物の体重との相関関係を、ステップワイズ重回帰分析および単回帰分析により検討した。また、始新世の化石偶蹄類の踵骨に関する予備的検討もおこなった。 ステップワイズ重回帰分析の結果、「後距骨関節面の幅」と「後距骨関節面の部分の高さ」の二つのパラメーターを使用するのが最も妥当であった。単回帰分析では、予測値の標準誤差(SEE)を基準として用いたところ、「後距骨関節面の幅」を使用するのが一番妥当であり、二番目に妥当なのが「後距骨関節面の部分の高さ」である、という結果になった。つまり、距骨との関節面の部分が体重と最も相関があることがわかった。霊長類を対象とした場合の距骨を用いた同様の研究では距骨全体の大きさと体重との相関が良かったが、踵骨では踵骨全体の大きさと体重との相関はあまり良くなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目である本年度の主な目的は、昨年度で決定できた最適な計測部位を用いたデータの増大と、踵骨サイズの変異および踵骨サイズと体サイズとの関係性を調べることであった。計測データを用いた踵骨サイズの変異は、昨年度で検討できており、本年度もそれを確認できた。本年度は計測データを順調に増やすことができ、また、霊長類における踵骨サイズと体サイズとの関係性を回帰分析を用いて解析し、学会発表ができるレベルまで進んだ。したがって、当初計画していた本年度の研究目的はおおよそ達成できたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度の主な目的は、霊長類の踵骨データのさらなる増大と、霊長類以外の哺乳類の踵骨データの取得、そして、様々な哺乳類種を用いた踵骨サイズと体サイズとの関連性の検討である。計測部位は一年目の研究結果で決定しているので、早いペースでデータ取得が進むことが期待される。また、昨年度の研究結果を、日本霊長類学会で発表する予定である。霊長類のみでの分析結果と、様々な哺乳類における分析結果とを比較して、霊長類における踵骨の形態や体サイズとの関連性における特徴について議論する。最後に、英文での論文執筆に取りかかる。今のところ研究は非常に順調に進んでおり、研究計画の大幅な変更や、研究を遂行する上での大きな問題は発生しないと推測できる。
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Research Products
(2 results)