2013 Fiscal Year Research-status Report
安定同位体自然存在比を用いた小麦の炭水化物蓄積機構の解明
Project/Area Number |
25850015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
下田 星児 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・畑作研究領域, 主任研究員 (80425587)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小麦 / 炭水化物 / 気象 |
Research Abstract |
北海道は、日本の中では比較的冷涼で降水が少なく、高品質の小麦を生産しやすい気候条件だが、2010年のような著しい高温では、大幅な収穫量の低下を招いた。北海道の小麦栽培の歴史は浅く、低温障害が重視されており、高温側からの収量性の検討は十分ではなかった。本課題では、北海道東部の気象環境において、安定した収穫量を得るために、小麦葉・茎中の炭水化物に着目し、炭水化物の蓄積量が、1)施肥によって、2)土壌条件によって、3)地域によってどう変化するかを明らかにする。また、収量の変動要因を明らかにするため、作物統計を使った解析を行った。 追肥による茎中炭水化物濃度の測定と小麦収量の調査を、北海道東部の複数の圃場で調査を行った。追肥によって炭水化物濃度は変化した。前半施肥と後半施肥の組み合わせは、炭水化物濃度を上昇させる圃場が多い一方、中盤施肥と前半・もしくは後半施肥との組み合わせは、炭水化物濃度を低下させる圃場が多かった。しかし、炭水化物の量に換算した場合には、どの処理でも明確な差は得られなかった。また収量との関連は明確では無いが、炭水化物濃度が高いほど、むしろ減少する傾向が見られた。次に、施肥条件は同じで、土壌条件に焦点を当てた解析を行っても、炭水化物濃度が高いほど、収量が減少する傾向が見られた。 気象条件に関する解析は、明確な結果が得られた。北海道東部の収穫量を決定する要因は、地点の微気象要因には依存せず、大陸・海洋スケールの気象条件の変動と連動することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭水化物の増減に着目した課題であるが、収量との関連性は必ずしも明確ではない。炭水化物の蓄積を目標にすることが正しいか、検討する必要がある。 一方で、気象条件の関する解析は進んでおり、解析範囲を広げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
炭水化物の増減に着目し貯留から転流に焦点を当てているが、今後は、安定同位体を用いた手法により、ソース機能に焦点を当てた取り組みが必要と考える。 気象条件の関する解析は進んでおり、今後は、気象ばかりでなく、気候にも着目した解析を行う必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験方法を変更することにより、物品購入費用を安くすることができた。 実験方法の変更により、サンプルの処理時間は増加している。非常勤職員の人件費に充当する。
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Research Products
(2 results)