2015 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体自然存在比を用いた小麦の炭水化物蓄積機構の解明
Project/Area Number |
25850015
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
下田 星児 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・大規模畑作研究領域, 上級研究員 (80425587)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炭水化物 / 施肥効果 / 品種間差異 / 登熟期間 / 小麦 |
Outline of Annual Research Achievements |
小麦の追肥後の炭水化物動態に着目し、登熟期間中の葉の可溶性炭水化物(WSC)を連続的に測定した。2014年と2015年に、止葉期追肥後、開花期、登熟前半、登熟後半に、中庸な地上部を採取し、採取後保冷し、葉・茎に分けた後、凍結乾燥を行い粉砕後、硫酸フェノール法にてWSC含有率を測定した。また、圃場を圧雪して土壌凍結深を制御し、土壌凍結が深い場合、浅い場合のWSCの差を検討した。これにより、1) WSCの推移に品種間差があるか、2)炭水化物の蓄積を追肥により制御可能か、明らかにした。登熟期間中のWSCは、有意な地点間差が継続的に生じる一方、登熟中盤では追肥による差、登熟後半のみ品種間差が生じた。しかし、追肥は品種との間に相互作用が確認された。追肥処理によるWSCの制御で一定の効果を得ることは可能では無いといえる。次に、開花期、登熟前半、登熟後半のWSCと収量構成要素・千粒重・子実タンパクの関係を検証した。一般に、開花期のWSCは、穂数との関連や品種特性が現れるが、本研究では関係性が見られなかった。登熟前半には地点間差が生じた。登熟後半のWSCを、一般線形混合モデルにて複合効果を検証した結果、きたほなみでは、地点に関わらず登熟後半のWSCと千粒重や子実タンパク含量に相関がみられた。品種間で、登熟後半の転流もしくは同化特性の違いがあると考えられる。土壌凍結深は生育に関連するが、WSCとは関係性は見れなかった。今回試験したのは、地方で慣行とされる施肥パターンの中で、施肥の有無を検証したが、その中では炭水化物の蓄積を制御可能なパターンを見出せなかったが、品種間で炭水化物の蓄積パターンが異なることは明らかにできた。
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Research Products
(5 results)