2013 Fiscal Year Research-status Report
トビイロウンカのイネの圃場抵抗性に対する適応の遺伝解析
Project/Area Number |
25850037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小林 徹也 独立行政法人農業生物資源研究所, 加害・耐虫機構研究ユニット, 主任研究員 (90355321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トビイロウンカ抵抗性 / 圃場抵抗性 |
Research Abstract |
国際イネ研究所(IRRI)が育成した抵抗性イネ品種のうち、トビイロウンカ抵抗性遺伝子Bph1をもつIR26、Bph1に加えて圃場抵抗性を持つIR64、抵抗性遺伝子bph2を持つIR42、bph2に加えて圃場抵抗性を持つIR36の種子を国内2カ所の機関から入手し、種子を増殖するとともに、トビイロウンカ生存率を指標に抵抗性の強さを調査した。結果、国内1か所から入手したIR品種は、トビイロウンカに対する抵抗性をほとんど失っていた。一方、国内もう1か所から入手した種子は中程度のトビイロウンカ抵抗性を示した。一方、IR64は非常に強い抵抗性を示した。IR64のみが強い抵抗性を示した理由として、IR64が持つ抵抗性が、Bph1, bph2といった主要な抵抗性遺伝子が持つ抵抗性とは異なるメカニズムによって発現している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は種子増殖と検定方法の調整など準備に時間がかかったが、概ね順調に進んでいる。入手した品種が過去の研究や文献と比較して弱い抵抗性を示さなかった理由として、検定に用いたイネの生育ステージが若かったこと、栽培時の光量が不足していたことが考えられた。また、幼苗における集団飼育では加害性の強さに応じて集団内の個体を分離することが難しい等の問題が生じたため、より生育ステージの進んだイネ体を用いるなど、検定法の改善が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題で予定しているIR64とIR36の2つの圃場抵抗性品種のうちIR64が強い抵抗性を示したことから、まずこれに対する加害性の遺伝解析を行うことが有効と考えられる。2年目の計画としてIR64において発育日数が異なる2つのトビイロウンカ集団を作製し、交配と後代検定を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は入手した品種の評価と系統作成を行う予定であったが、最初に入手した品種が期待された形質をもたなかったため、別の機関から品種を再入手して増殖したのち、再実験を行う必要が生じた。このため、選抜系統の作製と検定、DNA抽出と多型解析等その他の実験を次年度に行うことにした。 平成25年度に行う予定だった交配後代のDNA関連の実験に必要な試薬について、平成26年度に購入して実験を行う予定である。具体的には、DNA抽出キット 6万円、RNA抽出キット 6万円、シーケンス試薬 13万円等。
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