2014 Fiscal Year Research-status Report
ツキノワグマの食性の個体差の解明とそれに及ぼす要因の検討
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25850103
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40514865)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大型哺乳類 / 食性 / ツキノワグマ / 個体差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ツキノワグマの食性の個体差を解明し、食性に属性(性や齢)や家系が及ぼす影響を評価することを目的とする。最近の研究により他個体からの学習の機会が少ない単独性の大型哺乳類にも、群居性の哺乳類と同じく属性の違いによる食性の個体差が存在し、それが生存率や繁殖状況、行動パターンに影響することが示唆されている。しかし、実際のデータによる裏付けがほとんどない。そこで本研究は、これまでに蓄積してきたツキノワグマの属性(性・齢・家系・繁殖履歴)に関する個体情報とそれらの試料、及び直接観察、GPS首輪といった技術を用いてツキノワグマの食性に属性が及ぼす影響を評価し、その要因を解明する。 本年度は、2003年から2013年にかけて栃木県足尾・日光地域で行ってきた学術捕獲によって得られたメスのツキノワグマの体毛(のべ84個体)の窒素および炭素の安定同位体比を測定し、それらの値から食性およびその個体差に及ぼす要因と地域的変異に及ぼす要因を推定した。 その結果、ツキノワグマは植物のフェロジーを通して食性明確に変化させるが、個体の年齢や堅果の結実程度によって食性には個体差が生じていることが示唆された。また、それには 学習や資源分布の時空間的変が要因となっている可能性が考えられた。さらに、各地域のツキノワグマの採食する動物質の割合の違いが、各地域のツキノワグマの食性の地域差を生み出している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は既存試料の窒素および炭素の安定同位体比の解析を行うことができ、メスに関しては大きな傾向を読み取ることができた。しかし、準備段階に多くの時間を要し、機械の不調等もあり、当初の予定していた全個体の試料の解析までは終えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の解析を終えることができなかった試料の解析を終えるとともに、今年度の結果と併せてツキノワグマの食性に属性が及ぼす影響を評価し、その要因を解明する。
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Causes of Carryover |
分析機械の不調により、予定通りの分析が終わらなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
機械の修理が終わったため、未使用分で試薬の購入を予定。
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Research Products
(12 results)