2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国における作物在来品種の保全・管理システムの解明
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25850160
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨吉 満之 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 特任准教授 (20506703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上海 / 崇明島 / 自家採種 / 消費者 / 能登 / 里山 / 生態系サービス / ひご野菜 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国における在来作物の栽培状況および種苗の調達形態を明らかにするため、現地調査を実施した。対象地域は上海および近郊農村とし、4集落で複数の農民へのヒアリングを行った(熊本大学の留学生、上海市農業科学院園芸研究所の陸世鈞氏の協力)。その結果、(1)全体として、種苗は購入される傾向が強い、(2)多品目を生産する農民は自家採種をしている傾向がみられる、(3)豆類を自家採種する農民は比較的多い、ということが明らかにされた。また、中国では土地所有制度が日本や韓国とは大きく異なるため、同じ土地で作物を作り続けるというインセンティブが生まれにくい状況が観察された。よって、生息域内での保全のためには、政府・行政を含めた作付計画に関与する主体が保全の重要性に関する意識を持つ必要があることが示唆された。 また、比較地域である日本について、消費者の在来種に関する意識・利用についての調査を実施した。日本、韓国に関する研究成果を広く一般に発信する目的で、伝統野菜セミナーを実施した(11/11熊本)。熊本地域における在来種保全のための研究会を設立し、在来種フォーラム(3/17)を実施した。これまでに行ってきた在来作物・伝統野菜に関する調査結果をとりまとめ、一般向けの書籍『伝統野菜の今』として出版した(金沢大学、香坂玲氏との共著)。
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