2013 Fiscal Year Research-status Report
暑熱負荷時の鶏の代謝時系列変化およびその連動性の解明
Project/Area Number |
25850182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
喜久里 基 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90613042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 暑熱ストレス / 酸化ストレス / ミトコンドリア / タンパク質分解 / 解糖系 / 抗酸化酵素 / アトロジン1 / TCA回路 |
Research Abstract |
暑熱環境下において、家禽の体内では呼吸性アルカローシス、体タンパク質分解、酸化ストレスが生じることが知られている。研究計画初年度にあたる本年度では、暑熱感作においてこれら代謝変化が生じるまでに要する時間ならびにその順序を調べた。3週齢雄肉用鶏を33℃で12・24・72 h暑熱感作し、各々の時間における骨格筋の脂質過酸化、活性酸素(ROS)制御因子、ユビキチン・プロテアソーム系タンパク質分解システム、抗酸化酵素発現ならびに細胞内代謝産物量を測定した。過酸化脂質は暑熱感作後12hで増加し、それ以降の時間においても通常環境区より高い値を示した。ミトコンドリアに局在する抗酸化酵素MnSODのmRNA発現量はいずれの暑熱時間においても変化は認められなかった。一方、ミトコンドリアROS産生制御因子であるavUCPの発現量は12hで著しく上昇していたことから、暑熱にともなうミトコンドリアROS過剰産生を下方制御するためにこの発現が上昇した可能性が考えられた。ユビキチン転移酵素Atrogin-1のmRNA発現量は12hで増加した一方で、24・72 hでは変化が認められなかった。暑熱12h後において乳酸含量が増加した一方でクエン酸含量がわずかに低下しており、解糖系が亢進していることが示唆された。また、暑熱12hにおいては低酸素環境で発現が誘導するHIF-1αのmRNA発現量が増加する傾向が示された。以上の結果をまとめると、暑熱感作後12hにおいて骨格筋ではすでに酸化ストレスが生じており、これと同時にタンパク質分解が更新している可能性が示された。また、同時間においては低酸素状態に陥っている可能性も示唆されたことから、暑熱感作後、比較的短時間において上記3つの代謝変化が同時に生じていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、暑熱負荷時における代謝時系列変化が観察でき、後に発症する暑熱ストレス(増体量の低下、飼料効率の低下)を誘引する反応が比較的短時間で生じていることが分かった。今後は、骨格筋培養細胞を用いた試験により、本年度着目した複数の代謝変化の連動性・関連性を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
高温培養、低酸素培養などの外部環境調製装置を導入し、鶏初代骨格筋培養細胞を用いてin vitro暑熱ストレスモデルを作製した後、H25年度に明らかにされた暑熱時の代謝変化(低酸素誘導、酸化ストレス、タンパク質分解)に連動性があるのか否かを明らかにする。
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