2013 Fiscal Year Research-status Report
乾乳期における組換え牛サイトカイン乳房内投与による難治性乳房炎治療技術の開発
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25850215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
菊 佳男 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所寒地酪農衛生研究領域, 主任研究員 (70370179)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 牛 / 乳房炎 / 乾乳期 / 治療 / サイトカイン |
Research Abstract |
牛乳房炎に対して、泌乳期治療で効果を確認している組換え牛顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rbGM-CSF)の、乾乳期治療剤としての有効性評価および作用機序の解明を行い、rbGM-CSF乾乳期治療技術を確立することを目的とした。今年度は、健康乳房に対する乾乳時rbGM-CSF乳房内投与が、分娩後の乳性状及び血液性状に与える影響を調査した。 乾乳1週間前に4分房の乳汁細菌検査ならびに体細胞数で罹患程度を確認し、乳汁中から細菌が検出されず、体細胞数が10万個/ml以下の牛の乳房を健常乳房として供試した。乾乳時に供試乳房内にrbGM-CSF(400μg/5ml/乳房)を投与し、投与後1、2、3日及び投与後1週間において分娩時まで一般症状の観察及び血液検査を実施した。分娩後は分娩直後から1週間隔で4週目まで乳汁及び血液を採取し、細菌ならびに一般性状検査を行った。分娩後1から4週目までの乳性状検査結果(細菌数及び体細胞数)から、乾乳時におけるrbGM-CSFの乳房内投与効果を評価した。 供試乳房は、rbGM-CSF投与後に顕著な変化は見られず、供試牛は概ね60日前後の乾乳期間を経て、正常分娩を行った。分娩直後の初乳は軽度の血乳であったが、それ以降は正常乳の状態に回復した。供試乳房からは、1例を除いて分娩後も病原微生物は検出されず、体細胞数も10万個/ml以下の正常値を示した。検出された1例の乳汁からは、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)が143cfu/ml検出されたが分娩後漸減し、体細胞数に関しても同様に減少し、正常乳となった。 健康牛が乾乳する際に、rbGM-CSFを乳房内投与したところ、乾乳期間中ならびに分娩後4週目までにおいて、臨床症状、乳性状および血液性状に著変はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乾乳期にrbGM-CSFを乳房内に投与する手技を確立することができた。その技術を用いて、健康牛の健康乳房内にrbGM-CSFを投与したところ、当初の予想通り副作用は見られず、予定した試験を終えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
健康牛へのrbGM-CSF投与試験を引き続き実施し、一般状態の変化の有無について観察を行う。また、それらの乳汁及び血液サンプルが揃い次第、生化学及び免疫機能検査を実施する。また、乳房炎罹患牛が現れた場合は、rbGM-CSF投与を行い治療効果の判定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は、供試牛として健康牛を用いたため、当初の想定よりも牛の管理や治療に関する経費を少なく抑えることができたため。また、健康牛のサンプルを用いたので、実験処理もスムーズに効率よく行うことができたため。 次年度以降は、乳房炎罹患牛を供試牛として用いるため、牛の健康状態を安全に良好に管理する経費として、今回生じた差額を使用する。
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