2013 Fiscal Year Research-status Report
皮膚・リンパ節内の免疫細胞挙動の解析による経皮ワクチン免疫誘導機構の解明
Project/Area Number |
25860115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣部 祥子 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70644582)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ワクチン / マイクロニードル / 皮膚免疫 |
Research Abstract |
針長が300 μmのマイクロニードルを用いた経皮投与、ならびに一般的な注射投与 (筋肉内、皮下、皮内) によって、モデル抗原であるオボアルブミン (OVA) をマウスに投与し、OVA特異的抗体価測定したところ、経皮投与では他の注射投与と比較して高い抗体産生が認められた。従来の主なワクチン投与法である筋肉内注射や皮下注射よりも、皮膚表層を抗原の送達部位とする経皮免疫が優れていることが示された。 そこで、皮膚に常在する組織特有の抗原提示細胞である樹状細胞に着目し、マイクロニードルを用いた経皮免疫におけるこれら細胞の関与を検討した。ジフテリアトキシンを投与することで皮膚に常在する3種類の樹状細胞を枯渇させた遺伝子改変マウスに経皮免疫を行ったところ、抗体産生が有意に低下した。したがって、皮膚に存在する抗原提示細胞が高い抗体産生を誘導する皮膚免疫において重要な役割を担っているものと考えられた。 一方で、経皮投与により皮膚内へ送達された抗原の体内動態を観察したところ、抗原が皮膚の細胞に取り込まれることなくリンパ節へと流れ込み、マクロファージに数多く取り込まれていることが確認された。また、抗原を含有していないマイクロニードルを貼付すると、その穿刺に伴い、皮膚組織にマクロファージが集積することを見出した。このことから、樹状細胞と同じく抗原提示細胞であり、サイトカインやケモカインの分泌能に優れる免疫担当細胞でもあるマクロファージが、経皮免疫に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロニードルを用いた経皮免疫に大きく関与する細胞を少しずつではあるが明らかにしている。また、経皮免疫機構を詳細に解析する手法や多光子顕微鏡を用いて抗原取り込み細胞を生体レベルで追跡する手法の予備検討がおおよそ終了し、更なる機能解析を進めていける体制が整いつつあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロニードルだけでなく、我々が独自に開発した親水性ゲルパッチについても経皮免疫機構の解明を進めていく予定である。マイクロニードルより皮膚の表層に抗原を送達する親水性ゲルパッチは、免疫応答のバランスが注射免疫と異なることが示されており、本デバイスについても詳細な解析が必要である。 また、皮膚に常在する樹状細胞だけでなく、マクロファージが皮膚免疫に関わる可能性が示唆されたことから、クロドロン酸内包リポソームを用いたマクロファージ枯渇マウスを用いた検討を行う。 さらに、多光子顕微鏡を用いた皮膚細胞の動態を観察する条件設定や予備検討を進めており、経皮投与された抗原ならびに抗原を取り込んだ細胞の挙動を生体レベルで追跡する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経皮免疫応答にマクロファージが関与することを見出したことから、新たに試薬をそろえる必要性が出たため。 マクロファージを枯渇するクロドロン酸内包リポソームやマクロファージのサブセットを染め分ける抗体を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)