2014 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍移行制御特性を有するSNO-アルブミン二量体による多角的な新規癌治療戦略
Project/Area Number |
25860118
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
異島 優 熊本大学, 薬学部, 助教 (00457590)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ヒト血清アルブミン / 一酸化窒素 / 癌 / EPR効果 / ドキシル / アブラキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト血清アルブミン(HSA)は、内因性リガンドや外因性リガンドを結合・運搬するタンパク質として知られているが、中でも、一酸化窒素(NO)の運搬タンパク質としても機能していることは、NOを薬物として考えた際、Drug Delivery Systemという点から大変興味深い。ここでは、NOをHSAに結合させた様々なSNO-HSAアナログを用いた癌疾患への検討結果を報告する。 癌の領域では、Enhanced permeability and retention (EPR)効果を基盤とした高分子抗癌剤の開発が活発に行われている。一方、NOはEPR効果を増強することから、併用による高分子抗癌剤の腫瘍組織選択性の向上が期待されている。そこで我々は、NOを付加したSNO-HSA Dimerを作製して、EPR増強剤としての有用性を評価した。Colon26細胞担癌マウスを用いて、EPR効果増強におけるSNO-HSA Dimerの影響を検討したところ、EPR効果の指標であるエバンスブルーの蓄積が認められた。さらに詳細に腫瘍内部のエバンスブルーの蓄積を検討したところ、血管から遠い腫瘍深部に至る所までエバンスブルーの蓄積の増大が観察された。前年度までとは異なり、低血管透過性のモデルであるB16細胞担癌モデルを用いて、SNO-HSA Dimerと高分子抗がん剤であるドキシルやアブラキサンとの併用による癌治療を行ったところ、高分子抗癌剤のみではほとんど治療効果が認められないのに対し、SNO-HSA Dimer併用群において有意に高い抗腫瘍作用が認められた。これらの結果から、SNO-HSA Dimerは、既存の高分子抗癌剤の腫瘍移行性を増大させることのみならず、これまで低移行性のため適応されていない癌種への適応拡大も可能にすることが示唆された。
|
Research Products
(10 results)
-
-
-
[Journal Article] Tuning of poly-S-nitrosated human serum albumin as superior antitumor nanomedicine.2014
Author(s)
Ishima Y, Fang J, Kragh-Hansen U, Yin H, Liao L, Katayama N, Watanabe H, Kai T, Suenaga A, Maeda H, Otagiri M, Maruyama T.
-
Journal Title
J Pharm Sci.
Volume: 103
Pages: 2184
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-