2015 Fiscal Year Research-status Report
SNAP-23のリン酸化によるファゴソーム成熟の制御機構解明
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25860218
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
櫻井 千恵 鳥取大学, 医学部, 助教 (10589724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SNAREタンパク質 / ファゴサイトーシス / ファゴソーム / マクロファージ / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原微生物などが体内に侵入した場合、マクロファージなどの食細胞がこれに対処することが知られている。この生体防御反応はファゴサイトーシスと呼ばれ、ファゴソームの形成と成熟から成る。これまで、SNAREタンパク質であるSNAP-23がこの反応に機能することを報告したが、その制御機構は依然として未解明である。そこで本研究では、ファゴサイトーシスにおけるSNAP-23の制御機構解明を目的とした。 本研究ではこれまで、①予想されるリン酸化部位を他のアミノ酸に置換することでリン酸化状態を変化させたSNAP-23を安定的に発現するマクロファージ細胞株を樹立した。②この樹立した細胞株を用いてファゴソームの形成過程を解析したところ、SNAP-23のリン酸化によりファゴソーム形成の効率が低下していた。また、③ファゴソーム成熟の過程で起こるファゴソームとライソゾームとの融合についても遅延が見られた。これらの原因を解明するため、④他のSNAREタンパク質との相互作用について免疫沈降実験により確認したところ、SNAP-23はリン酸化によって他のSNAREタンパク質との相互作用が低下することがわかった。この相互作用の低下はSNAP-23の構造変化が原因であると考えられたため、⑤SNAP-23のFRETプローブを用いて構造の変化について調べたところ、SNAP-23はリン酸化によってその立体構造を変化させることが明らかとなった。 以上のことから、SNAP-23はリン酸化を受けることで立体構造が変化し、結果としてファゴサイトーシスにおけるファゴソームの形成と成熟の両過程が抑制されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は論文投稿のための最終確認実験と論文執筆を行っており、今年度中に論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、リン酸化修飾を受けたSNAP-23はファゴサイトーシスの過程においてファゴソームの形成・成熟を低下させることがわかった。今後はSNAP-23のリン酸化酵素の同定を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定では本年度中に論文投稿を行う予定であったが、投稿は次年度に行うことに変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に論文投稿料として使用するが、一部物品費としても使用する予定である。
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