2014 Fiscal Year Annual Research Report
機能未知糖転移酵素GTUFによる乳癌細胞増殖機構の解明と臨床応用への展開
Project/Area Number |
25860240
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松尾 泰佑 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (70533222)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳癌 / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、網羅的遺伝子発現解析を通じて乳癌特異的に発現亢進している遺伝子として同定した機能未知糖転移酵素GTUF(Glycosyltransferase of Unknown Function)の乳癌細胞における役割を明らかにすることを試みた。 まず、我々が過去に施行したマイクロアレイ解析データを用いてGTUFの乳癌における詳細な発現様式を調べたところ、GTUFは乳癌の中でも特に悪性度の高いトリプルネガティブ乳癌(triple negative breast cancer:TNBC)においても発現亢進していることが確認された。次に、RNA干渉法によるGTUF遺伝子の発現抑制解析を行ったところ、TNBCおよび非TNBCのどちらの乳癌細胞においても細胞増殖が抑制され、GTUFは乳癌細胞の増殖に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、このときsubG1の増加およびPARPの切断が見られたことから、GTUFはアポトーシスの制御にも関与していることが示された。 続いて、GTUFが2ヶ所のN結合型糖鎖修飾部位を有していたことから、これらの糖鎖修飾の生理的意義について解析した。まず、糖転移酵素の中には細胞外分泌能を有しているものが存在するため、GTUFが細胞外に分泌されるか調べた。その結果、GTUFの細胞外への分泌が認められた。そこで、GTUFのN結合型糖鎖修飾部位の変異体についても同様の解析を行ったところ、GTUF変異体では細胞外分泌能が低下したことから、GTUFのN結合型糖鎖修飾は細胞外分泌に重要な役割を果たしていることが示された。 以上の結果から、GTUFは乳癌の新規治療薬の標的分子だけではなく乳癌の腫瘍マーカーともなり得ることが明らかになった。
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