2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
入子 英幸 鳥取大学, 医学部, 助教 (60346674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マラリア / 熱帯熱マラリア原虫 / 寄生胞膜 |
Research Abstract |
赤血球内に寄生したマラリア原虫は、「食胞」と呼ばれる単膜オルガネラにヘモグロビンを輸送し、発育・増殖に必要な栄養源として利用する。この代謝機構は、マラリア治療薬の有効な標的となることから、生化学的手法を用いた研究が盛んに行われてきた。その一方で、マラリア原虫によるヘモグロビンの取込み、食胞への輸送の仕組みは未だ明らかにされていない。そこで本年度は、熱帯熱マラリア原虫のヘモグロビン輸送機構の解明を目的として、ヘモグロビン輸送の指標分子の同定を試みた。 マラリア原虫は赤血球侵入時に寄生胞膜を形成し、ヘモグロビンから隔離されているため、寄生胞膜と原虫細胞膜を内側に陥入させたサイトストームから、ヘモグロビンを輸送小胞に取込み、食胞へと輸送している。そこで申請者は、ヘモグロビン代謝が活発なトロホゾイト期の寄生胞膜に発現する3分子(ETRAMP4, EXP1, EXP2)に着目した。まず、コムギ胚芽無細胞系を用いて組換えタンパク質を作成し、マウスおよびウサギに免疫し、抗血清を得た。抗血清の原虫に対する反応性は、ウエスタンブロット法、間接蛍光抗体法により確認した。次に、免疫電顕法を用いて、詳細な分子局在を解析したところ、リング期~初期トロホゾイト期の寄生胞膜に発現するETRAMP4 (Early TRAnscribed Membrane Protein4)が、サイトストームと輸送小胞に移行することを見出した。またETRAMP4は、輸送小胞と食胞の膜融合の過程において、輸送小胞の寄生胞膜由来成分とともに食胞内部に取込まれることも明らかになった。以上の結果から、熱帯熱マラリア原虫(リング期~初期トロホゾイト期)のヘモグロビン輸送において、ETRAMP4が指標分子となることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱帯熱マラリア原虫のヘモグロビン輸送機構の解明を目指し、計画初年度は、ヘモグロビン輸送の指標となる分子の同定を試みた。その結果、熱帯熱マラリア原虫のリング期~初期トロホゾイト期のヘモグロビン輸送において、ETRAMP4 (Early TRAnscribed Membrane Protein4)が有効な指標分子となることを見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
熱帯熱マラリア原虫の寄生胞膜に発現する分子群に対する抗体の作成、免疫電顕法による詳細な分子局在の解析を継続して行い、各発育段階におけるヘモグロビン輸送の指標分子を同定する。また、ETRAMP4の遺伝子改変原虫を作成し、寄生胞膜からヘモグロビン輸送小胞への移行に必要十分な領域を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者は、4月1日付けで神戸大学大学院 保健学研究科 国際保健学領域 感染症対策分野の准教授として採用された。そのため、研究計画の一部を次年度に変更した。 研究代表者の異動先において、研究の遂行に必要な機材・消耗品の購入を行う。
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