2013 Fiscal Year Research-status Report
胸腺皮質上皮細胞特異的β5tの発現を指標にした胸腺上皮細胞分化機構の研究
Project/Area Number |
25860361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大東 いずみ 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 特任助教 (00596588)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 獲得免疫 / 胸腺 / 胸腺上皮細胞 / 細胞分化 |
Research Abstract |
胸腺上皮細胞は、皮質と髄質二分類され、胸腺微小環境を形成しT細胞の抗原認識特異性レパトアの形成を担っている。皮質、髄質上皮細胞は共通の前駆細胞から分化するが、そのメカニズムは不明な点が多い。我々は、皮質上皮細胞で特異的に発現する胸腺プロテアソーム構成鎖β5tの発現を指標とした細胞の分化能解析から、髄質上皮細胞はβ5tを発現した前駆細胞から分化することを明らかにしてきた。当該年度は、この研究結果をもとに、ドキシサイクリンによる発現誘導で、特定の時期におけるβ5t発現をEGFP発現にてトレースできるレポーターマウスを作製し解析をおこなった。その結果、成獣胸腺の髄質上皮細胞の60%は胎生期β5t陽性前駆細胞由来、30%は新生仔期β5t陽性前駆細胞由来であり、これらの割合は、週齢を経ても大きな変動は見られなかった。一方、成獣期β5t陽性前駆細胞由来の髄質上皮細胞の割合は4%以下だった。この結果から、成獣胸腺の髄質上皮細胞の多くは、胎生期および新生仔期に存在するβ5t陽性前駆細胞から分化した細胞であり、細胞の入れ替わりが少ない細胞であることが明らかになった。 また、β5tの発現制御の観点から、髄質および皮質上皮細胞への分岐を担う分子機構を解明するために、β5t遺伝子の5’ゲノム領域下にEGFP遺伝子をつないだレポータープラスミドを作製した。さらに、β5tの転写を調節する候補転写因子として、β5t遺伝子5’ゲノム領域に結合可能な配列が存在し、胸腺上皮細分化に重要な機能を担っている転写因子の発現プラスミドを作製した。これらのプラスミドをHEK293T細胞株に共発現させたところ、EGFP発現の増加がみられた。また、胸腺皮質上皮細胞由来の細胞株に候補転写因子を強発現させたところ、β5tの発現増加がみられた。これらの結果から、β5tの発現はこの転写因子によって正に制御されている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、β5発現細胞の分化能解析とβ5t発現制御分子機構解析を研究目的に掲げて研究を遂行してきた。分化能解析においては、ドキシサイクリンによる発現誘導で、特定の時期におけるβ5t発現をEGFP発現にてトレースできるレポーターマウスを作製し、そのマウスの解析によりそれぞれの時期にβ5tを発現した細胞がどのような分化運命をたどるのか解析するとともに、β5t発現細胞の入れ替わりについての検討をおこなった。当該年度は、当初の計画通り研究を遂行することができ、研究実績の概要に記載したような結果が得られた。 β5t発現制御分子機構解析に関しては、レトロウイルスベクターを用い、β5tの発現を蛍光タンパク発現にてモニターすることが可能であるレポータープラスミドを作製し、胸腺上皮細胞に感染させ、β5t発現制御を担うβ5tゲノム領域の同定、および制御転写因子の検討を行う計画であった。しかし、胸腺上皮細胞へのレトロウイルス感染は困難であることが明らかになったため、計画を変更し、哺乳類細胞発現プラスミドをベースとしたレポータープラスミドを作製し、細胞株を用いての検討をおこなった。その結果、β5t発現の制御を担う転写因子、およびゲノム領域の解明に近づきつつある。当初の計画とは異なったアプローチになったものの、研究目的に随じた研究を遂行し、結果を得ることができている。以上のことより、本研究課題は、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
β5発現細胞の分化能解析に関しての研究推進方策は、当初の計画通り、ドキシサイクリンによる発現誘導で、特定の時期におけるβ5t発現をEGFP発現にてトレースできるレポーターマウスを用い、放射線照射などのによる胸腺萎縮後の細胞回復時における胸腺上皮細胞分化についての検討をおこなう。すでに、放射線照射したマウスの解析は進めており、放射線照射以外では、ウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログのであるPoly I:C の投与により胸腺の萎縮を誘導し、回復時におけるβ5t陽性前駆細胞の寄与についての検討をおこなう。 β5t発現制御分子機構解析に関しては、候補となった転写因子のβ5t発現制御への寄与についてさらに検討をおこなう。具体的には、β5遺伝子5'ゲノム領域上にある候補転写因子が結合しうる領域に変異を生じさせたレポータープラスミドを作製し、変異により発現制御に変化がみられるのかを検討する。また、胸腺皮質上皮細胞および髄質上皮細胞での遺伝子発現比較をしたマイクロアレイデータをもとに、発現の差がみられた他の転写因子にも着目し、β5t発現制御の有無について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
β5t発現制御分子機構解析において、当初計画していた実験方法では成果が得られないことが判明したため、当初の研究計画を変更する必要が生じたことにより、年度内の完了が困難となった。 β5tの発現制御解析に必要な試薬、および細胞株の購入に使用する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Increased number of Hassall's corpuscles in myasthenia gravis patients with thymic hyperplasia2014
Author(s)
Matsui N, Ohigashi I, Tanaka K, Sakata M, Furukawa T, Nakagawa Y, Kondo K, Kitagawa T, Yamashita S, Nomura Y, Takahama Y, Kaji R.
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Journal Title
Journal of Neuroimmunology
Volume: 269
Pages: 56-61
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Thymic medullary epithelium and thymocyte self-tolerance require cooperation between CD28-CD80/86 and CD40-CD40L costimulatory pathways2014
Author(s)
Williams JA, Zhang J, Jeon H, Nitta T, Ohigashi I, Klug D, Kruhlak MJ, Choudhury B, Sharrow SO, Granger L, Adams A, Eckhaus MA, Jenkinson SR, Richie ER, Gress RE, Takahama Y, Hodes RJ.
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Journal Title
The Journal of Immunology
Volume: 192
Pages: 630-640
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] TRAF3 enforces the requirement for T cell cross-talk in thymic medullary epithelial development.2013
Author(s)
Jenkinson SR, Williams JA, Jeon H, Zhang J, Nitta T, Ohigashi I, Kruhlak M, Zuklys S, Sharrow S, Adams A, Granger L, Choi Y, Siebenlist U, Bishop GA, Hollander GA, Takahama Y, Hodes RJ.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: 110
Pages: 21107-21112
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Aire-expressing thymic medullary epithelial cells originate from β5t-expressing progenitor2013
Author(s)
Ohigashi I, Zuklys S, Sakata M (他6名)Ohigashi I, Zuklys S, Sakata M, Mayer CE, Zhanybekova S, Murata S, Tanaka K, Holländer GA, Takahama Y.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: 110
Pages: 9885-9890
DOI
Peer Reviewed
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