2013 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛トランスポーター ZIP10によるBCRシグナル制御機構の解明
Project/Area Number |
25860371
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北條 慎太郎 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 特別研究員 (90585556)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 亜鉛トランスポーター / 亜鉛 / B細胞 / BCR / シグナル / リンパ球 / 免疫 / 抗体 |
Research Abstract |
申請者は、亜鉛トランスポーターが輸送する亜鉛イオンがシグナル因子として機能し(亜鉛シグナル)、骨軟骨代謝や免疫応答に深く関わることを明らかにしてきた。亜鉛の欠乏症は重篤な免疫機能の低下を引き起こすことが知られているが、亜鉛や亜鉛トランスポーターがどのように免疫系を制御しているのか、その分子機序は明らかにされていない。本申請研究は、免疫系の一つの柱である抗体産生に関わるB細胞において高い発現を示す亜鉛トランスポーター ZIP10に注目し、B細胞特異的にZIP10を欠損したマウスを構築することによってその機能を解析した。ZIP10欠損マウスでは末梢の成熟B細胞の減少が認められ、それが関与する抗原特異的な抗体産生能が減弱していた。また、ZIP10を欠損したB細胞の寿命は野生型と比較して短く、この表現型はB細胞内因性の異常に起因していることが判明した。 成熟B細胞の生存や抗体産生能はB細胞受容体(BCR)シグナルによって制御されていることが知られている。ZIP10欠損B細胞では、BCR刺激依存的な細胞増殖能の低下が認められ、BCRシグナル伝達の異常が確認された。興味深いことに、予想に反して、ZIP10欠損B細胞ではBCRシグナル伝達の中心的な役割を果たすSrcファミリーキナーゼ LYNの活性化がBCR刺激後に亢進しており、この原因の一つとしてLYNの制御因子であるCD45の脱リン酸化活性が減弱していることがわかった。すなわち、今回得られた結果は、ZIP10がBCRシグナル伝達における新規のレギュレーターであり、CD45の活性を介してシグナル強度を調節することによって、B細胞の機能を制御していることを明示するものである (論文投稿準備中)。本研究は、第八回 トランスポーター研究会年会 優秀発表賞 および 第86回日本生化学会大会 鈴木紘一メモリアル賞 の表彰を受けた。
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Research Products
(9 results)