2014 Fiscal Year Research-status Report
睡眠時間及び睡眠の質と血圧及び動脈硬化との関連に関する疫学研究
| Project/Area Number |
25860441
|
|---|
| Research Institution | Okayama University |
|---|
Principal Investigator |
江口 依里 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60635118)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | 動脈硬化 / 頸動脈肥厚 / 血圧 / 睡眠呼吸障害 / 睡眠の質 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
睡眠の量及び質、家庭血圧、及び頸動脈硬化との関連についての横断研究
【方法】愛媛県東温市において、平成21年～24年に実施した循環器詳細健診（東温スタディ）に参加した30～79歳の2033名のうち、必要な情報が得られた者を対象として、１．家庭血圧や健診血圧と頸動脈壁肥厚との関連に睡眠呼吸障害が与える影響、２．高血圧と頸動脈壁肥厚との関連に睡眠の質が与える影響について検討した。総頚動脈にて、最大で1.1㎜以上の肥厚を認めた場合に頸動脈壁肥厚ありと定義した。睡眠呼吸障害の重症度は、鼻・口からの気流を検知するセンサを用いて睡眠時の気流変化を測定し、一時間当たりの無呼吸・低呼吸の回数である呼吸障害指数（RDI：Respiratory Disturbance Index）によって評価した。睡眠の質は、ピッツバーグ睡眠質問紙を用いて過去1か月間の自覚的な睡眠の質を4段階で評価した。家庭血圧は、対象者に自動血圧計を貸出し、起床時、就寝時の血圧を一週間測定した。高血圧は高圧剤の服用者も含めた。
【結果】
睡眠呼吸障害と頸動脈壁肥厚との間に有意な関連は認められなかった。早朝、就寝時、健診血圧は有意に頸動脈壁肥厚と関連し、睡眠呼吸障害と健診時、あるいは、就寝時の高血圧は英動脈壁肥厚との関連において相乗効果が認められた。健診時や就寝時の高血圧があり、さらに睡眠呼吸障害がある場合には、より動脈硬化がある割合が多い可能性がある。さらに、高血圧と頸動脈壁肥厚との関連は、特に女性において、睡眠の質が悪い群でより強く認められた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
１．家庭血圧や健診血圧と頸動脈壁肥厚との関連に睡眠呼吸障害が与える影響、２．高血圧と頸動脈壁肥厚との関連に睡眠の質が与える影響、について、上記のような結果を得、それぞれ成果を発表した。または発表予定である。昨年度、データ化が遅れ、実施できなかった各睡眠指標や血圧指標と頸動脈エコーのデータとの関連に関する解析も実施することができた。
本年度は、テーマ1の横断研究については、ほぼすべての解析を終了した。また、平成21年度に循環器健診を受診した約500人について、5年後のフォローアップ健診を実施した。本年度は、さらに平成22年度に循環器健診を受診した約500人について、フォローアップ調査を実施する計画であり、研究計画に対して、現在までの達成度はほぼ計画通りであるといえる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年実施した、平成21年度に東温市にて循環器健診を受診した約500人についての5年後のフォローアップ健診に引き続き、平成22年度に受診した約500人についてのフォローアップ健診を実施する。情報収集する項目は、１．血圧、家庭血圧、２．睡眠呼吸障害検査（パルスオキシメトリ法・フローセンサ法）、睡眠質問票、３．頸部エコー検査、４．血液検査、５．生活習慣・及び既往歴である。これらの2年分約1000人分のフォローアップデータにて、縦断的な解析を実施する予定である。
【分析方法】循環器疾患の既往ありのもの、睡眠呼吸障害の治療中のものを除いて分析対象とし、平成21～22年度の睡眠の量及び質と平成26、27年度に実施の就寝時及び起床時の血圧値との関連について前向きに検討する。同様に平成22年度までの睡眠の質及び量と平成26、27年度実施の頸動脈硬化所見との関連を前向きに検討する。さらに、睡眠の量及び質と頸動脈硬化との関連にベースライン及びフォローアップ時の起床時の血圧が どのように影響するかについて検討する。解析は、睡眠時間が適度であるものに比べて、適度でないもの、あるいは、ベースライン時の呼吸センサ、パルスオキシメータやピッツバーグ睡眠質問票において、睡眠の質の点数がよかったものに比べて、悪かったものの頸動脈硬化所見のハザード比をCOX比例ハザードモデルを用いて評価する。本年度は、これまで解析した内容について論文にまとめる作業も同時に進めていく予定である。
|
| Causes of Carryover |
本年度は、予定していた研究打ち合わせ旅費や人件費について、等研究費を充当する必要のないものが多数あった こと、本年度の人件費が予定より少なく抑えられたことより、当該年度の研究費の使用を少なく抑えることができた。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年末に、岡山大学へ異動したため、調査研究に岡山―東温市間の旅費が度々必要となる。また、会議のために岡 山―大阪間の旅費が必要であること、また、資料準備のための人件費や、学会発表、論文発表の旅費や投稿料として充てる予定である。
|
Research Products
(1 results)
