2013 Fiscal Year Research-status Report
Metabolic Autopsyを用いた新しい法医診断学の確立
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25860490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 琢磨 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50634458)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Metabolic Autopsy / 乳幼児突然死 |
Research Abstract |
昨年度、我々は乳幼児突然死症例における代謝疾患のかかわりについて検討を行った。代謝疾患の中でも特に先天性の代謝異常症、とりわけ脂肪酸代謝異常症やミトコンドリア呼吸鎖異常症は乳幼児期に突然死を引き起こす可能性が示唆されている。従って、これらの疾患に焦点を当て、乳幼児突然死症例の原因究明を目指した。昨年度は、申請書に基づき、3段階に分けて実験を進めた。 第1段階:検体抽出 過去に保存されている解剖症例より、約50例の乳幼児突然死症例について解析を行っている。血液が保存されているものに関しては、既報(Yamamoto et al. Mol Genet Metab, 2011)に基づきDNA抽出を行った。 皮膚が保存されているものに関しては、既報に基づき皮膚線維芽細胞培養を行った。 第2段階:代謝産物測定 上記約50例に対し、既報(Yamamoto et al. Mol Genet Metab, 2011)に基づきTandem Massを用いアシルカルニチン測定を行った。皮膚線維芽細胞培養が可能である症例に対しては、既報に基づき酵素活性測定を行った。 第3段階:遺伝子変異の同定 上記約50例に対し、先天性代謝異常症の候補遺伝子のエクソンスクリーニングを行った。 第2段階の実験において、50例中数例に脂肪酸代謝異常症およびミトコンドリア呼吸鎖異常症を示唆する所見を得た。また、第3段階の実験において、数例の症例で代謝異常症の候補遺伝子に変異を認めた。これらの症例は後方視的にも明らかな形態異常を認めない症例が大半であり、MetabolicAutopsyを用いない従来の解剖方法では、見逃されていた可能性が考えられる。代謝疾患に焦点を当てたMetabolicAutopsyの手法は法医学的にも重要であり、代謝疾患を念頭に置いた解析が重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的には100例から200例程度の乳幼児突然死症例の解析を予定している。過去の報告からは、数パーセントに代謝疾患の関与が示唆されており、現在関与が疑われる数例は、過去の報告からも矛盾しない割合である。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 本年度以降、解析症例をさらに増やす予定である。また、分光光度計を用いた代謝酵素活性測定および細胞外フラックスアナライザーを用いた酸素消費量測定によるミトコンドリア機能解析を行う予定である。これらは、死後に機能的解析を行うという、従来の法医学領域では例を見ない検討方法である。 (次年度の研究費の使用計画) 上述したように、分光光度計を用いた代謝酵素活性測定および細胞外フラックスアナライザーを用いた酸素消費量測定に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)