2014 Fiscal Year Research-status Report
アルコールの心筋細胞への影響からみた突然死の解明のための基礎研究
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25860491
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小澤 周二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20379944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 突然死 / アルコール性臓器障害 / カスケード解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医実務において、アルコール多飲者の突然死例はしばしば経験されるものの、死因となるような有意な形態学的な変化は見出せないことが少なくない。その突然死の原因として、致死的不整脈に因る心停止等が示唆されているものの、法医学的に判断をすることは非常に困難である。また、エタノール及びその代謝産物は心肥大や心筋細胞死を引き起こすと考えられているが、そのメカニズムは未だに不明な部分が多く、アルコール摂取と突然死との関連に関しては未だ十分に明らかになってはいない。そこで本研究では、アルコールの長期摂取に因る心筋への障害のメカニズムを解明するため、慢性アルコール投与モデルを用いて、心筋障害をもたらしうる関連遺伝子の同定を試みた。本年度は、昨年度に適切と判断された慢性アルコール投与マウスから摘出した心臓を用いて、慢性アルコール投与時及び離脱時に生じる心筋の遺伝子の発現量を網羅的に比較解析を行った。その結果、慢性アルコール投与群では、有意な発現変動が認められる遺伝子が十分に多く、長期のアルコール投与により心筋細胞はエタノール存在下で強く影響を受けると考えられた。一方、アルコール離脱群では、有意な発現変動を認めた遺伝子の数や変動量は少ないものの、慢性アルコール投与群とは異なる遺伝子で発現に変動が認められ、心筋細胞にエタノール存在下とは異なる影響が働いている可能性が示唆された。また、発現変動の大きい遺伝子と小さい遺伝子を比較して分析を行ったところ、慢性アルコール投与群では12領域、アルコール離脱群では44領域の転写因子結合領域において、発現変動の大きい遺伝子での存在頻度が高く、これらの領域が発現変動の大きい遺伝子に有意に多く含まれていると考えられた。今後は、これらの転写因子結合領域に結合する転写因子を分析しさらなる解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度には動物モデルの模索を強いられやや遅れていたものの、昨年度は遺伝子解析に取り組むことができ、順調に解析を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた遺伝子解析を元に、さらなる不整脈発症関連分子の解析を試みる。
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