2015 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ浮腫の発症病態メカニズムの解明と新規の標的薬物治療の開発
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25860583
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
元木 英 (緒方英) 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (70648253)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / リンパ管硬化 / リンパ管平滑筋細胞 / マウスモデル / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ浮腫はリンパ液が滞留することによって四肢の著明な浮腫・拡大、蜂窩織炎やリンパ漏を繰り返し、患者の日常生活を著しく障害する重篤な疾患であり、いったん発症すると完治は期待しづらく、慢性期になれば改善させることも難しくなる。リンパ浮腫における病態変化をヒト検体(①)及びマウス(②)を用いたリンパ浮腫モデルを作成しその病態解析を行った。①リンパ浮腫リンパ管の病理変化の解析。リンパ管静脈吻合手術の際に吻合部を整える際に採取できたリンパ浮腫リンパ管検体を用いて解析を行った。リンパ浮腫検体の病理組織学的解析の結果、増殖した平滑筋細胞主体のリンパ管壁の肥厚が生じていることが分かった。リンパ浮腫リンパ管は正常リンパ管に比べて明らかな壁肥厚を認め、増殖している細胞の多くは、形質変換を起こし脱分化した平滑筋細胞と考えられた。平滑筋細胞の形質変換は、動脈硬化などの動脈疾患の形成に重要であることが知られており、動脈硬化においては、それを形成する慢性炎症機序によって形質変換が誘導される。従って、ヒトリンパ浮腫においても、炎症機序の寄与が示唆された。②マウスリンパ浮腫モデルの作成およびその病態解析。リンパ浮腫の発症機構を解析するために、マウスを用いた検討を行った。本研究者が確立したマウスモデルでは、透過性の亢進した新生リンパ管とリンパ球と単球・マクロファージを主体とした免疫細胞の集積を認めた。炎症プロセスが、リンパ管新生をもたらしている可能性が高いことが示唆された。さらにモデルマウスの浮腫部組織のフローサイトメトリー解析により、集積細胞の大部分はリンパ球であり、その主なものはCD4陽性T細胞であった。また、マウスリンパ浮腫の進行を抑制する薬剤を2 種を同定することに成功した。同定した薬剤の投与したマウスでは浮腫の程度が明らかに軽度であった。
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Research Products
(1 results)