2014 Fiscal Year Annual Research Report
サルコイドーシスにおける肉芽腫形成修飾因子の臨床的応用
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25860650
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
竹中 隆一 大分大学, 医学部, 助教 (90457606)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サルコイドーシス / HMGB1 / 肉牙腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はサルコイドーシスにおける肉牙腫形成に関する修飾因子の検討を行うものである。 HMGB1に着目し、サルコイドーシス(n=72)と健常者(n=15)の血清および気管支肺胞液中(以下BALF)のHMGB1値をELISA法にて測定し比較検討した。その結果、BALF中のHMGB1値は健常者と比較しサルコイドーシス群で有意に上昇していた。一方血清中HMGB1値はサルコイドーシス群と健常者で有意な差は無かった。この結果より、HMGB1はサルコイドーシスで全身反応としてではなく局所において何らかの役割を持って上昇していることが考えられた。 HMGB1のレセプターの1つであるRAGEについても同様にELISA法で検討を行った。結果は血清中もBALD中もともにサルコイドーシス群と健常者では有意な差を認めなかった。今回ELISAで測定したRAGEは活性をもつ可溶性RAGEと相関しないとの報告もあり再検討が必要である。 HMGB1の役割を解明すべく、サルコイドーシス患者の肺VATS組織を用いて免疫染色にてその発現細胞の同定を行った。サルコイドーシスにおいてHMGB1が肉牙腫周囲のリンパ球、マクロファージなど単球系やⅡ型肺胞上皮細胞などに発現していることを確認した。CD3やCD20やSP-Aなど二重染色を行ったが上記結果で矛盾しない結果であった。 次にHMGB1とMCP1との関連に注目し検討を行った。血清およびBALF中のMCP1のELISA測定を行ったが手技的な問題か良好な結果が得られず、再度ELISA測定を検討している。 現時点ではその役割は明確でないが、HMGB1がサルコイドーシスの局所で増加し、肉牙腫周囲の単球系やⅡ型肺胞上皮細胞に発現していることから、複雑な役割を担っていること示唆された。今後、MCP1や様々なケモカインとHMGB1との相関を検討し、役割を明確にしていく予定である。
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