2015 Fiscal Year Research-status Report
乳癌biomarkerとしての3テスラMRI拡散強調画像の撮像法、評価法の確立
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25861058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 拡散強調画像 / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
MRI撮像シークエンスの中でも、拡散強調画像は近年、癌の発見、診断に有用とされ、様々な領域で臨床応用されている非造影のシークエンスである。乳癌の画像診断においてMRI拡散強調画像の有用性が報告されていて、病変の拾い上げのみならず、質的診断にも期待が持たれている。拡散強調画像から得られるADC値の測定は、細胞密度や細胞外スペースの減少を反映するため、乳房腫瘤の良悪性の診断に有用であることが報告されている。良性病変と悪性病変におけるADC値の有意差は報告され、感度は92~95%程度、特異度は47~58%程度と、造影MRIと同等またはそれ以上の有用性が期待される。しかし、有用性の一方で、ADC値の測定方法に関しては論文によって様々で、乳房領域ではどのような関心領域(region of interest; ROI)の置き方が適切であるか、どのような撮像法が至適であるかについては報告がない。腫瘍全体をマニュアルに囲い、全体のADC値の平均を用いたものもあれば、ある程度の大きさのROIを病変内に複数おき、算出された複数のROIの最小値が有用だったという報告もある。ROIの設定の仕方によっては測定されたADC値にばらつきが生じる。撮像法としては現在までEPI法が用いられてきているが、EPI法により生じるアーチファクト、歪みはADC値測定の上で問題となることが知られている。 本研究の主目的は、乳癌の質的診断(組織学的グレード、ホルモン受容体とHER2受容体発現状況)をする上で3テスラMRI拡散強調画像の撮像方法と評価方法を確立し、病理との対応、予後との相関を明らかにすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は拡散強調画像の新たな撮像法であるTSE法を導入した。手術前にMRIを撮像する乳癌患者、全症例で従来法EPI法に加えて2つの方法を撮像し画像を取得した。EPI法はb値0,50, 100,200, 850, 1200、TSE法は0,50,600,800で撮像している。画質評価として、それぞれの撮像法で、contrast-to-noise ratio (CNR), signal-to-noise ratio (SNR), coefficient of variation (CV), 歪み率を計測し、比較した。CNRはp=0.01, SNRはp<0.0001、CVはp<0.0001、歪み率はp=0.0004でTSE法の法が有意に画質が良好であることが確認された。診断能の比較としてductal carcinoma in situ (DCIS)とinvasive ductal carcinoma (IDC)の間で値の検証をした。このときにADC値測定ではregion of interest (ROI)の置き方が問題となるため、全腫瘍体積のADC値をvoxelベースで計測し、ヒストグラム解析を行った。EPI法では25th, 50th percentile 値がDCISとIDCの間で有意差があるのに対し、TSE法では10th, 25th, 50th percentile 値で有意差が認められた。TSE法のほうがrobustであることが確認された。現在、病理学的細胞密度測定を行い、いずれの方法のいずれのb値を用いるADC値測定が病理学的細胞密度と相関するのか、検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
定量方法、撮像方法の検証については順調に進行中である。今後は病理学的なパラメータ(組織型、免疫組織学的サブタイプ、細胞密度)の定量化を行い、画像との対比を行って行く予定である。
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Causes of Carryover |
物品購入、謝金など行ったが、残額が残りました。次年度の病理学的検討のための免疫染色などに研究費が必要なため、繰り越しを希望します。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
病理学的検討のための標本準備、免疫染色などに使用する予定です。
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Research Products
(1 results)