2014 Fiscal Year Research-status Report
ホウ素置換基の反応特性を活かした新規[18F]CF3基標識技術の開発研究
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25861138
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
藤永 雅之 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (70623726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トリフルオロメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、原料に4-ビフェニルホウ酸を用い、1段階でトリフルオロメチル基に変換する条件について検討を行った。CF3化試薬としてこれまで使用していたKFとClCF2CO2Meをやめ、KOH、BrCF2P(O)(OEt)2とKFを使用した。反応は室温条件下で行った。銅塩にはヨウ化銅を用いて塩基の使用量、KFの使用量、溶媒を変え、CF3化の条件検討を行ったところ、目的物である4-トリフルオロメチルビフェニルの生成をわずかではあるが確認できた。しかしながら、やはり脱ホウ素化化合物が室温条件下においても確認された。そこで、条件の最適化を行ったが、収率の改善には至らなかった。空気存在下、溶媒に水が共存していることで、反応活性種になると考えられるCuCF3が分解しやすくなっている可能性も考えられる。 次に、別法としてホウ素置換基をCF2SO2R(R = アルキル or アリール)基に変換し、KFでCF3基に変換する方法について検討した。まず、ホウ素置換基をCF2SO2Ph基へ変換する方法は酢酸パラジウム存在下、配位子と塩基を加えて90℃で検討を行った。しかしながら、目的の置換基導入には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、モデル化合物に4-ビフェニルホウ酸を用いてトリフルオロメチル基へと変換するための方法を検討した。CF3アニオンを発生させるための試薬として、近年良く使われるKFとClCF2CO2Meの組み合わせは使用せず、KF、KOH、BrCF2P(O)(OEt)2を使用して反応の検討を行った。従来の試薬では、HOT合成時にCF3アニオンとCF2[18F]アニオンが競合し、合成したPETリガンドの比放射能が非常に悪くなる恐れが出てきたため、利用しなかった。BrCF2P(O)(OEt)2を用いた場合でも反応系中では、CF3アニオンは生成できることが知られているが、その条件下でCuCF3が安定に存在できるかが不明であり、そのため条件の最適化に時間を要してしまった。 一方、別法による方法では当初、ICF2SO2Rを市販品から合成し、使用する事を検討していたが、市販品であるHCF2SO2Phでも反応が十分進行すると考えられたため、計画を一部変更して行った。実際には、まだ、多くの最適化条件を検討できていないが、反応が当初の想定していたより進行しにくい事から予定していたところまで計画を進める事ができなかったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ホウ酸のCF2SO2Ph化の条件検討を引き続き行う。その際に、試薬として、HCF2SO2Phだけでなく、ICF2SO2Phも合成し、併せて合成検討を行う。反応の条件検討を行う際には、パラジウム触媒や溶媒、反応温度、反応時間、配位子の組み合わせについて重点的に検討を行う。 (2) CF3化試薬として新たにHCF2OTs(可能であればHCF2OTfについても)の合成検討を行う。この試薬の合成が可能になる事で、KFと反応させる事により容易にCF3アニオンを合成する事ができるようになる。ただ、精製は精密な蒸留装置を必要とすることが想定されるため、状況に応じ用意する。 (3)(1)および(2)で検討した方法を用いて、それぞれ実際に[18F]KFを用いて自動合成装置にて標識合成を行う。モデル化合物としては4-置換ビフェニルを用意する予定。実際に標識合成が自動合成装置内でできるように、温度、基質の量、反応温度を検討し、さらになるべく工程数を減らし容易に自動合成できるように考慮する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた計画よりも研究の進行度が遅く、予定していた試薬類を購入しなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、最終年度に当たるため、研究計画がなるべく進行するように試薬購入、カラムの購入に充てる予定
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